
最初に掲げたイラストは、2019年度日立市再生資源回収カレンダーを複写したものです。段ボールや新聞の束などの再生資源を集積所まで運ぶのは、足腰が弱い高齢者にとってはひと苦労です。環境省は、自治体などが高齢者宅まで出向いてごみの収集を行う「ごみ出し支援」制度の拡充をめざし、今年度からモデル事業を実施します。先行する自治体の取り組みと、国の動きを公明新聞5月11日付けの記事より紹介します。
■安否確認の声掛けも実施/横浜市

横浜市は2004年度から、市の収集員が玄関先に出向いてごみを直接取りに行く「ふれあい収集」事業を実施しています。対象となる人は、自分でごみを集積所まで持って行けない一人暮らしの65歳以上の高齢者や障がい者、要介護者らの世帯です。利用者は年々増加しており、11年度末の約3300人から、18年度末には約7300人へと倍増。収集事務所には「足が悪いので困っていた。本当にありがたい」といった感謝の声が多数寄せられています。
事業のきっかけは、01年度からスタートした「粗大ごみの持ち出し収集」で、高齢者から「家庭で出る一般ごみもやってほしい」との声が上がったこと。現在は、市の収集員が週1回、対象者の軒先や門扉先に置かれたごみを収集しています。ごみが置かれてない場合も、希望者には声掛けなどによる安否確認を行っています。
実際に人命救助につながった例もあります。2017年、同市旭区に住む女性宅の玄関前にごみが出ておらず、インターホンを鳴らしても応答がありませんでした。このため収集員が中をうかがうと、うずくまっている女性を発見。すぐさま救急車を手配し、事なきを得ました。こうした事例が年に数件はあることから、地域の見守り役も果たしています。
■シルバー人材の活用や専用ボックス設置など
福岡県大木町は2012年8月から、シルバー人材センターに業務委託し、高齢者や障がい者を対象にごみ出し支援を行っています。訪問時には声掛けとともに、“困りごと相談”を実施。ファックスのインクを交換したり、時計の電池交換など簡単な作業に応じています。
2000年10月からごみの戸別収集を導入した東京都日野市は、収集日にごみ出しが難しい高齢者や障がい者らのために、ごみ袋を入れるふた付きの「ハンディキャップボックス」や、ごみ袋に貼り付ける「ハンディキャップシール」を対象世帯に配布。これらがあれば、収集日以外にもごみ出しができるようにしました。
また、新潟市亀田西地区では、地域団体が学校と連携し、路面が凍結しやすい冬場に限り、中学生が登校時にボランティアで高齢者宅のごみ袋を集積所まで運んでいます。
■環境省が今夏からモデル事業
環境省は今夏から、5カ所程度の自治体を選んで高齢者のごみ出し支援のモデル事業を行います。
モデル事業は、横浜市のような自治体直営型や、委託業者との連携型、町内会といった地域のコミュニティーを生かした取り組みなど、さまざまな方式で高齢者世帯のごみを戸別に収集することを想定しています。可燃ごみや資源ごみ、粗大ごみなど種類ごとに適切な収集の間隔や方法、必要な人員も調べます。
高齢者のごみ出しの実態や支援の状況について、今年初めに環境省が全国の市区町村を対象に調査したところ、「高齢者へのごみ出し支援は自治体が取り組むべきだ」との質問に対し、肯定的な意見だった自治体は半数に上りました。一方で、実際に支援を行っている自治体は2割程度にとどまっています。支援を行っていない自治体に課題を聞くと、「予算の不足」「人員の不足」を挙げた自治体がそれぞれ8割を占めています。
環境省はモデル事業の結果とともに、先進事例などを集め20年度末までに自治体向けのガイドラインを策定します。環境省の担当者は「限られた予算や人員でも支援ができるノウハウを全国で共有していきたい」と語っています。
福岡県大木町は2012年8月から、シルバー人材センターに業務委託し、高齢者や障がい者を対象にごみ出し支援を行っています。訪問時には声掛けとともに、“困りごと相談”を実施。ファックスのインクを交換したり、時計の電池交換など簡単な作業に応じています。
2000年10月からごみの戸別収集を導入した東京都日野市は、収集日にごみ出しが難しい高齢者や障がい者らのために、ごみ袋を入れるふた付きの「ハンディキャップボックス」や、ごみ袋に貼り付ける「ハンディキャップシール」を対象世帯に配布。これらがあれば、収集日以外にもごみ出しができるようにしました。
また、新潟市亀田西地区では、地域団体が学校と連携し、路面が凍結しやすい冬場に限り、中学生が登校時にボランティアで高齢者宅のごみ袋を集積所まで運んでいます。
■環境省が今夏からモデル事業
環境省は今夏から、5カ所程度の自治体を選んで高齢者のごみ出し支援のモデル事業を行います。
モデル事業は、横浜市のような自治体直営型や、委託業者との連携型、町内会といった地域のコミュニティーを生かした取り組みなど、さまざまな方式で高齢者世帯のごみを戸別に収集することを想定しています。可燃ごみや資源ごみ、粗大ごみなど種類ごとに適切な収集の間隔や方法、必要な人員も調べます。
高齢者のごみ出しの実態や支援の状況について、今年初めに環境省が全国の市区町村を対象に調査したところ、「高齢者へのごみ出し支援は自治体が取り組むべきだ」との質問に対し、肯定的な意見だった自治体は半数に上りました。一方で、実際に支援を行っている自治体は2割程度にとどまっています。支援を行っていない自治体に課題を聞くと、「予算の不足」「人員の不足」を挙げた自治体がそれぞれ8割を占めています。
環境省はモデル事業の結果とともに、先進事例などを集め20年度末までに自治体向けのガイドラインを策定します。環境省の担当者は「限られた予算や人員でも支援ができるノウハウを全国で共有していきたい」と語っています。