5月13日、井手よしひろは八島いさお県議、村本しゅうじ県議に随行して、大洗町の県立大洗水族館「アクアワールド大洗」を訪れ、小澤正哉館長との意見交換を行うとともに、施設内を詳しく視察しました。
今年度から茨城県は、ひたちなか市、大洗町と連携して、太平洋に面した地の利を生かし、「ひたちなか大洗リゾート構想」を進める計画です。ひたちなか市と大洗町には国営ひたち海浜公園、アクアワールド大洗、大洗サンビーチなど全国に知られる施設があり、こうした強みをさらにアピールしながら、マリンスポーツのイベント開催などに取り組み、弱点とされる滞在型観光の強化を図る狙いです。
構想は、海と〈1〉宿泊・飲食〈2〉スポーツ〈3〉音楽・アニメ〈4〉歴史文化−−などを組み合わせた「おしゃれで洗練されたリゾート」が基本理念となっています。具体策は今後、官民一体でつくる推進協議会で検討するが、新たな取り組みとして、海の見えるホテルやカフェの誘致、ビーチバレーの施設整備、レース専用小型飛行機によるエアレースの開催などを想定しています。
構想を進めるため、県は3月27日、ひたちなか市・大洗町などと連携協定を締結。大井川知事は「この地域を観光リゾートに育てるとともに、インバウンド(訪日観光客)も意識して県の魅力を向上させたい」と強調しました。滞在型観光の強化を狙うのは、本県の宿泊客数が北関東の他の2県より少ないことが背景にあります。
ひたちなか市には海浜公園や那珂湊おさかな市場があり、毎年夏には全国から若者らが集まるロックの祭典が行われています。大洗町にもアクアワールド県大洗水族館や大洗サンビーチといった知名度の高い施設があり、人気アニメ「ガルパン」の舞台としても知られています。県内市町村の2017年の観光客数は大洗町が1位、ひたちなか市が4位でした。
しかし、観光庁の宿泊旅行統計調査(2018年速報値)によると、茨城県の延べ宿泊者は569万人で、同じ北関東の栃木県904万人、群馬県808万人に大きく差をつけられています。海水浴客も減少傾向にあり、官民一体となって「豊富な観光資源を磨き上げる」ことで地域の活性化につなげたい考えです。
◆「ナイトアクアリウム」など県が取り組み本格化
宿泊客を増やすためには、朝や夜の「絶景」をキーワードに、観光客に県内に泊まってもらう取り組みを強化する必要があります。
そこで県は、早朝や夜間など「泊まってこそ楽しめる」絶景を前面に押し出したキャンペーンを行います。第1弾として、昨年12月に行ったのが、年間100万人以上が訪れる県内屈指の人気施設、アクアワールド大洗の「ナイトアクアリウム」です。JTB水戸支店が県の事業委託を受けて開催。参加者は閉館後の館内をペンライト片手に1時間ほど見学しました。その夜には周辺のホテルや旅館などに約100人が宿泊し、終了後のアンケートでは「夕食前の空いている時間をうまく活用できた」などと、概ね好評の企画でした。
小澤館長との意見交換でも、閑散期の集客対策や旅館・ホテルとの連携など様々な課題が議論されました。
さらに、魅力ある観光資源を活かすためにも、道路や橋などの社会資本の整備が不可欠であることを再確認しました。大洗とひたちなか市(那珂湊地区)を結ぶ『海門橋』の掛け替えはその中でも最優先の課題です。東水戸道路(高速道路)と拠点施設を結ぶ接続道路の整備やひたちなか海浜鉄道のひたち海浜公園までの延伸など、大きな課題であり、可能性が大きな地域であるということができます。
なお、アクアワールド大洗の入場者数は、毎年100万人以上で推移し、昨年度(2018年度)は111万9813人で全国でもベスト10に入りました。沖縄の美ら海水族館は別格として、首都圏以外の水族館としてはトップクラスの集客力を持っています。新水族館がオープンして17年目の今年度中には、2000万人の大台を突破しそうです。