東京一極集中と少子化による人口減少は、地方都市が抱える共通の課題です。こうした中、福島県会津若松市は、産官学で情報通信技術(ICT)を行政の効率化や観光振興に活用する「スマートシティ」化を進め、成果を上げつつあります。その取り組みを、公明新聞2019年6月3日付の記事より紹介します。
■訪日客宿泊数が6倍増
会津若松市がスマートシティ化に舵を切るきっかけとなったのが、2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故です。基幹産業である観光と農業が大きな打撃を受け、人口減少に追い打ちをかけました。
窮地の打開へ、会津若松市は日本初のコンピューター専門大学「会津大学」(1993年開学)と連携したICT推進の取り組みを、日本屈指のIT系コンサルティング企業アクセンチュアなど企業復興支援で訪れた企業などと共に具体化していきました。
2013年に「施政方針」や「地域活力の再生に向けた取り組み」として、初めてスマートシティを明記。15年には、地方創生総合戦略を策定し、地方創生包括連携協議会を発足させました。さまざまな分野でICTを活用した産業創出・人材育成を行い、地方創生のモデル地域となることをめざしています。
目に見えて効果が表れた取り組みの一つが、観光とICTを組み合わせた「デジタルDMO」です。市に宿泊する外国人数は12年の1904人から、17年に1万1757人へと約6.2倍に増加しました。
「デジタルDMO」は、訪日外国人向けホームページ(HP)を作成し、利用者の居住地に合わせて好まれそうな観光地や旅行プランが表示されるように工夫。SNSなどで大きな影響力を持つ外国人を市へ招き、自由に情報発信してもらう試みも行っています。周遊観光による相乗効果を狙い、「デジタルDMO」事業は、17年度から会津地域の7市町村まで拡大しています。
■HPで除雪車を「見える化」/中山間地のバス予約も実施
市民サービスの向上につながる施策としては、年齢や性別、家族構成など個人の登録データに応じた情報を優先的に提供するHP「会津若松+」が挙げられます。例えば育児中の母親に対しては、予防接種のお知らせや手続きの方法などを通知。将来的には、HPのカレンダーから受診日を予約することも検討しています。
また、市民が共通して知りたい情報も積極的に提供しています。豪雪地帯である会津若松市の除雪車250台にGPS端末を搭載し、「会津若松+」から稼働状況を見られるようにしました。走行データや各地から届いた苦情は分析の上、運行ルートの検討に役立てられています。
表彰を受けた施策もある。自宅のテレビから市・地域情報の閲覧や、再生可能エネルギーを利用したデマンドバスの予約ができる「中山間地域生活支援システム」は、第10回EST交通環境大賞(環境大臣賞)を受賞しました。
こうした取り組みについて市企画調整課の五十嵐徹副主幹は「スマートシティ化を通じて住みたくなる街をめざしている。また、地元に残りたくても希望の仕事がないから転出するという人も少なくないので、ICT関連の雇用創出にも力を入れている」と話しています。
■「スマートシティAiCT」がオープン、地元学生の就労・定着に期待
その第一歩となる施設が官民連携で今年4月にオープンした「スマートシティAiCT」です。ICT関連企業13社(420人)が入居しています。これまで地元での就職を望みつつも、自分に適した仕事がなく、市外流出していた会津大学卒業生が活躍する場になると期待されています。併せて、企業と会津大学が相互交流して高度なデータ分析を担う人材の育成も行われています。
スマートシティAiCTに入居する企業は、アクセンチュア、TIS、エフコム、エヌ・エス・シー、イノーバ、エムアイメイズ、イクシング、デザイニウム、フィリップス・ジャパン、SAPジャパン、日本マイクロソフト、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、MURC+凸版印刷、會津アクティベートアソシエーション、日本電気、アイザック、三菱商事、シマンテックの17社がすでに決定しています(予定含む)。
そしてこうしたIT企業の中でも異彩を放つのがアクセンチュアです。世界的なコンサルティング会社アンダーセン・コンサルティング東京事務所として創業。2001年に現商号へ商号変更しました。アクセンチュアは2019年度中にスマートシティAiCT内で250人の社員を稼働させます。AiCTは3階建てですが、アクセンチュアは1階部分すべて(約300坪)を借用します。
アクセンチュアは東日本大震災直後の2011年8月、会津若松市内にアクセンチュア・イノベーションセンター福島を開設。会津若松市や会津大学などとともに、産業振興と雇用創出を軸とした、復興計画の策定やスマートシティー計画、地方創生総合計画など、会津若松市の政策立案を支援してきました。さらに、国内外の企業や地元と協力しながら、医療や教育、エネルギー、観光など幅広い領域で市民生活の利便性向上に資するサービスをスマートシティーのプラットフォーム上に次々と実現するための貢献をしています。アクセンチュアの江川昌史社長は「札幌はクラウド、福岡は自動化、熊本はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)など、当社はそれぞれの拠点で異なる重点領域を持つ地方展開を行っおり、会津若松は先端デジタル技術の実証フィールドと位置付けている。国の実証実験に寄与したい」と抱負を語っています。
市民サービスの向上につながる施策としては、年齢や性別、家族構成など個人の登録データに応じた情報を優先的に提供するHP「会津若松+」が挙げられます。例えば育児中の母親に対しては、予防接種のお知らせや手続きの方法などを通知。将来的には、HPのカレンダーから受診日を予約することも検討しています。
また、市民が共通して知りたい情報も積極的に提供しています。豪雪地帯である会津若松市の除雪車250台にGPS端末を搭載し、「会津若松+」から稼働状況を見られるようにしました。走行データや各地から届いた苦情は分析の上、運行ルートの検討に役立てられています。
表彰を受けた施策もある。自宅のテレビから市・地域情報の閲覧や、再生可能エネルギーを利用したデマンドバスの予約ができる「中山間地域生活支援システム」は、第10回EST交通環境大賞(環境大臣賞)を受賞しました。
こうした取り組みについて市企画調整課の五十嵐徹副主幹は「スマートシティ化を通じて住みたくなる街をめざしている。また、地元に残りたくても希望の仕事がないから転出するという人も少なくないので、ICT関連の雇用創出にも力を入れている」と話しています。
■「スマートシティAiCT」がオープン、地元学生の就労・定着に期待
その第一歩となる施設が官民連携で今年4月にオープンした「スマートシティAiCT」です。ICT関連企業13社(420人)が入居しています。これまで地元での就職を望みつつも、自分に適した仕事がなく、市外流出していた会津大学卒業生が活躍する場になると期待されています。併せて、企業と会津大学が相互交流して高度なデータ分析を担う人材の育成も行われています。
スマートシティAiCTに入居する企業は、アクセンチュア、TIS、エフコム、エヌ・エス・シー、イノーバ、エムアイメイズ、イクシング、デザイニウム、フィリップス・ジャパン、SAPジャパン、日本マイクロソフト、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、MURC+凸版印刷、會津アクティベートアソシエーション、日本電気、アイザック、三菱商事、シマンテックの17社がすでに決定しています(予定含む)。
そしてこうしたIT企業の中でも異彩を放つのがアクセンチュアです。世界的なコンサルティング会社アンダーセン・コンサルティング東京事務所として創業。2001年に現商号へ商号変更しました。アクセンチュアは2019年度中にスマートシティAiCT内で250人の社員を稼働させます。AiCTは3階建てですが、アクセンチュアは1階部分すべて(約300坪)を借用します。
アクセンチュアは東日本大震災直後の2011年8月、会津若松市内にアクセンチュア・イノベーションセンター福島を開設。会津若松市や会津大学などとともに、産業振興と雇用創出を軸とした、復興計画の策定やスマートシティー計画、地方創生総合計画など、会津若松市の政策立案を支援してきました。さらに、国内外の企業や地元と協力しながら、医療や教育、エネルギー、観光など幅広い領域で市民生活の利便性向上に資するサービスをスマートシティーのプラットフォーム上に次々と実現するための貢献をしています。アクセンチュアの江川昌史社長は「札幌はクラウド、福岡は自動化、熊本はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)など、当社はそれぞれの拠点で異なる重点領域を持つ地方展開を行っおり、会津若松は先端デジタル技術の実証フィールドと位置付けている。国の実証実験に寄与したい」と抱負を語っています。