190629doubutsu
 家族の一員であり、人生のパートナーでもあるペットの保護を一層進めるべきです。
 6月12日、動物虐待罪の厳罰化や、犬猫へのマイクロチップ装着の義務化などを盛り込んだ、議員立法による改正動物愛護管理法が参院本会議で、全会一致で可決、成立しました。
 動物愛護管理法は「殺処分ゼロ」を掲げる公明党のリードで5年余り前にも改正され、飼い主や動物取扱業者に対して最後まで動物の面倒を見る「終生飼養」の努力義務を課しました。その後、民間団体やボランティアの努力もあり、飼育放棄などで殺処分された犬や猫は約4分の1にまで減少しています。
 しかし、警察庁によると動物虐待で検挙された件数は年々増えており、この6年間で約3倍に増加している。ペットの虐待動画をインターネットに投稿するなど、悪質で痛ましい事例も後を絶ちません。
 改正動物愛護管理法では、後を絶たない悪質な動物虐待を防ぐため、虐待罪の罰則を強化。具体的には、殺傷の場合、現行の2年以下の懲役(または罰金200万円以下)から5年以下の懲役(または罰金500万円以下)に引き上げます。虐待・遺棄に対する罰則についても、現行の罰金100万円以下から、懲役1年以下または罰金100万円以下へと強化されました。動物虐待への厳罰化は、公明党が強く求めてきたものです。
 罪を犯した人に強く反省を促すだけでなく、動物虐待がいかに重い罪かを一般に周知し、犯罪の抑止につながる期待もできます。
 一方、ブリーダーなど繁殖業者に対しては、ペットに飼い主情報を記録したマイクロチップの装着を義務付けます。飼い主を明示することで、犬猫の遺棄や虐待の防止につなげるのが狙いです。
 また、犬猫を幼い時期に親から引き離すと、かみ癖などの問題行動を引き起こし、飼い主からの虐待につながるとして、一部の規制対象外を除き、生後56日を経過しない犬猫の販売も禁止(56日規制)します。
 さらに、動物を適正に養い、育てることを促すため、周辺環境に悪影響を与えている飼い主に対し、都道府県知事が指導や立ち入り検査を行うことができることも明記されました。
 マイクロチップは直径2ミリ、長さ12ミリ程度の円筒形で、獣医師が注射器で犬や猫の体に埋め込みます。記録された15桁の番号を専用の機械で読み取ると、飼い主の情報と照合できる仕組みです。既に欧米で定着しており、飼い主や事業者の責任を明確にし、捨て犬や捨て猫を防ぐ狙いがあります。災害時などに、はぐれた犬や猫の身元確認にも役立ちます。
 装着義務化は公布から3年以内に施行されます。ブリーダーなど繁殖業者に装着を義務付ける一方、一般の飼い主は努力義務となります。
 今回の法改正では、無謀な多頭飼育などで周辺環境に悪影響を与えている飼い主に対し、都道府県知事による指導や、行政が立ち入り検査を実施することができることも明記された。動物取扱業者や飼い主のモラル向上も、今回の法改正の重要な目的です。
 今回の法改正は超党派の議員連盟で議論されてきましたが、中でも公明党議員が「動物の命を守る」という強い姿勢で一致団結し、動物愛護団体の要望実現に尽力しました。
 海外の動物愛護先進国と比べて、日本には動物を取り巻く法律の不足部分が多々あります。社会の中で弱い立場である動物を守っていく法整備はとても重要なことです。人と動物が幸せに暮らす社会の実現へ、今後とも全力を挙げていく必要があります。