教育の3つの無償化
 公明党は、参院選に臨む政策集(マニフェスト2019)で「子育て安心社会」の実現を掲げています。人口減少と少子高齢化が急速に進む中、子育てを社会全体で支えることをめざす公明党の政策をまとめました。

「3つの無償化」着実に実施、幼児教育・保育
 公明党の長年の主張が実り、今年(2019年)10月から始まる幼児教育・保育(幼保)の無償化が実現します。
 これにより、3〜5歳児(就学前3年間)の全世帯と0〜2歳児の住民税非課税世帯の保育料が無料になります。認可外保育施設やベビーシッターなどの利用者も含め、約300万人の子どもが恩恵を受ける見通しです。
 今後、公明党は、0〜2歳児を含む就学前の全ての幼児を対象とするよう、さらなる拡大をめざします。
 幼保無償化の実施に合わせて重要となる幼児教育の質の向上に加え、幼稚園教諭や保育士などの処遇改善をはじめとする人材確保のための取り組みも推進します。
 幼稚園教諭、保育士、保育教諭など、幼児教育・保育に携わる人が結婚や出産後も仕事を継続していけるよう、代替者の確保などへの支援も進めます。同時に、出産・育児休業を取得しやすい環境の整備も促します。
私立高校授業料の無償化
 来年4月から、私立高校授業料の実質無償化が実現します。
 現在、私立高校生がいる年収910万円未満の世帯には、国の就学支援金として、公立高校の授業料に相当する年11万8800円から年約30万円が、年収に応じて支給されています。
 来年4月から始まる私立高校授業料の実質無償化は、年収590万円未満の世帯を対象に、就学支援金の支給額を私立高校授業料の全国平均(年約40万円)水準まで引き上げる形で実施されます。
 私立高校の授業料について、公明党は、東京都で2017年度から年収760万円未満を対象に無償化を実現するなど、地方自治体から無償化の流れをつくりました。茨城県でも、国に先んじて2019年度から、年収400万円未満を対象に私立高校の授業料無償化を実現しています。
 さらに、公明党は、授業料以外の教育費(教科書費や修学旅行費など)に使える、返済不要の「高校生等奨学給付金」も拡充する方針です。

大学など高等教育の無償化
 大学や専門学校などに進学したくても、経済的な理由で断念せざるを得ないような状況に陥ることがないよう、来年4月から、住民税非課税世帯とそれに準じる世帯の学生を対象に、大学など高等教育の無償化を実施します。
 公明党が17年に実現した返済不要の給付型奨学金と授業料減免を、金額・対象者ともに大幅に拡充する形で行われ、これにより教育費の負担軽減を推進します。
 今後は、子どもが2人以上いる多子世帯や中間所得世帯の教育費の負担に配慮した取り組みも進め、希望すれば誰でも大学などに進学できる社会の構築をめざします。
 加えて、希望者のほぼ全員が受けられる貸与型奨学金については、返還の負担軽減もめざします。具体的には、卒業後の年収に応じて、月々の返還額が変わる「所得連動返還型奨学金」の既卒者への適用や、企業や自治体による返還支援の促進など、柔軟な奨学金返還に向けた取り組みを支援します。

消費税率引き上げ分を財源に切れ目ない支援が実現
 人口減少と少子高齢化を乗り越えるには、子どもから高齢者まで全ての世代にわたる社会保障の構築が急務となっています。
 そこで、公明党の主張により、幼保と高等教育の無償化の財源には、10月の消費税率10%への引き上げによる増収分が活用されることになり、次世代の育成を強力に支援する“未来への投資”を大胆に実行することになりました。また、増収分は、所得の低い高齢者の介護保険料軽減などにも充てられます。
 幼児教育・保育の無償化、私立高校の授業料の実質無償化、大学や専門学校など高等教育の無償化が実施されれば「教育無償化」は0歳から大学卒業まで切れ目なくつながることになります。

待機児童ゼロの推進
 幼保無償化の着実な実施には、待機児童の解消も重要です。
 「2022年度末」までに約32万人分の保育の受け皿を整備するとしていた政府の「子育て安心プラン」を、「20年度末」までに前倒して実行し、小規模保育や企業主導型保育など、多様な保育の受け皿を拡大します。また、保育士が働きやすい環境も整備し、保育人材の確保も進めます。
 一方、共働きの家庭などが直面する「小1の壁」問題の解決にも取り組みます。これは、保育園や幼稚園を卒園した子どもの放課後の預け先がなくなり、親がフルタイムで働けなくなるという問題です。
 「放課後児童クラブ」(学童保育)の新たな整備計画である、政府の「新・放課後子ども総合プラン」の着実な実施を進め、全ての子どもが放課後を安全、安心に過ごせるための環境を整備します。

児童虐待対策の強化
 虐待など、さまざまな理由により親元で暮らせない子どもたちに、原則として、里親や特別養子縁組などの家庭養護を優先するとともに、児童養護施設などにおける専門的なケアや、施設退所後の自立支援、アフターケアを充実させます。
 また、公明党の推進により、先の国会で児童福祉法等改正法が成立したことを受け、親などによる体罰を禁止し、親が子を戒めることを認める民法上の「懲戒権」のあり方を見直します。さらに、DV(配偶者などからの暴力)対策との連携の強化、児童相談所の体制強化と市区町村における在宅支援、学校における虐待対応体制の構築を推進します。

出産一時金の増額
出産育児一時金の増額
 出産時の経済的な不安を軽減するため、公明党は出産育児一時金の創設・拡充も進めてきました。出産育児一時金の創設当初は30万円でしたが、現在、42万円まで増額されています。出産時に多額の現金を用意しなくても済むよう、医療機関などへの「直接支払制度」も導入しました。
 ただ、公益社団法人・国民健康保険中央会によると、正常分娩での出産費用の平均は50万5759円(2016年度)で、入院中に個室を希望したり、産院独自のサービスを受けたりする場合、60万円を超えることもあるといわれています。
 子どもを産み、育てやすい環境づくりをさらに推進するため、出産育児一時金を現行の42万円から50万円へと引き上げることをめざします。

子どもたちが安心して学べる環境づくり
 いじめや虐待などで悩む子どもに対応するため、子どもの相談に応じる「スクールカウンセラー」をはじめ、児童相談所との連携や教員の支援などを行う「スクールソーシャルワーカー」、児童虐待の防止に向け、学校の現場で法的問題に対応する弁護士「スクールロイヤー」、養護教諭などの配置を拡充し、学校の支援体制の強化を進めます。
 また、LINEなどSNSを活用した「いじめ相談」体制の拡充も促進します。