ジャパニーズフィルムフェスティバルのHP
 9月11日、映画「ある町の高い煙突」を、海外、特に中国や東南アジア、インドなどで上映したいとの思いで、東京四谷の国際交流基金を訪問し、映像事業部の担当者から様々アドバイスをいただきました。
 東南アジアでは、邦画の公開本数が増えています。人口減で先細りの日本と異なり、市場は拡大。親日的な土地柄で、日本文化への関心は高く、日本映画界は活路を求めて市場開拓に取り組んでいます。日本政府も、ジャパンブランドの宣揚を図るために強力に支援しています。
 シンガポールでは6月以降だけでも、アニメ「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」、人気漫画の実写映画「キングダム」など多数の日本のヒット作が相次いで公開され、大好評を受けています。両作品とも、声優や主演俳優らが現地でのプレス向けイベントに参加するほどの力の入れようです。業界関係者からは「映画人口の先細りが懸念される日本に比べ、人口増加で今後の市場、拡大が期待されている東南アジアに注目している」との声が聞かれています。
 また東南アジア各国で、日本アニメの実写化や共同制作に向けた議論が活発に行われているといいます。
 半面、韓国、中国などの作品に比べると、東南アジアで公開される日本映画の本数は、圧倒的に少ないの現実です。
 日本政府も邦画の東南アジア展開をバックアップしています。国際交流基金は2014年、東南アジア諸国連合(ASEAN)との相互理解促進を目的に、文化や日本語などの分野で2020年までの活動資金200億円を確保しました。この一環として、邦画に親しんでもらうおうと、東南アジア各国で日本映画祭「ジャパニーズーフィルム・フェスティバル」を開催しています。
 この日、貴重なお時間をいただいた国際交流基金の映画事業部企画役、許斐雅文さんは邦画の東南アジア展開について、「映画祭、映画館での長期上映、ネット上映、テレビなど多様なメディアを通じ、邦画に触れられる環境の整備を進めるています」と力説しました。また、邦画ファンが交流するイベントなども開催し、「邦画をアジアの国々に定着させていきたい」と意気込みを熱く語りました。
 東南アジアでは、アニメや娯楽性の高い映画が喜ばれる傾向が強く、映画「ある町の高い煙突」のような「メッセージ性の高い作品を、どのように売り込んでいくかが、今後の課題です」とアドバイスをいただきました。また、海外展開も重要ですが、日本に住む外国人やインターナショナルスクールに通う日本人向けに、映画「ある町の高い煙突」を上映してはとのご提案もいただきました。この映画は、海外での展開も視野に、すでに英語字幕、中国字幕など7か国語版を製作しています。多様化した地域社会の中で、こうした発想はとても重要だと思いました。
 フィルムフェスや映画のネット配信、外国のテレビ局への売り込みなど、今後、様々な機会で協力をいただけることになりました。
 これからも、様々な国で深刻な課題となっている公害問題に、地域の住民と企業が敵対するのではなく、真摯に対話するこで、持続可能な地域社会を作ったという「日立の奇跡の実話」を全世界に知っていただけるよう、海外での展開にも努力をしていきたいと思います。
参考:ジャパニーズ・フィルム・フェスティバルのHP:https://www.japanesefilmfest.org/