クラスター対策
 新型コロナウイル感染症対策の重点ポイントに、クラスター対策あります。現在日本で行われている感染症対策では、「クラスターとは感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団」のことを指します。
 クラスター対策の目的は明確です。クラスターの抑え込みが、感染者の爆発的な増加を防ぐことに直結するためです。国のクラスター対策班は、今回の感染症対策の目的について「1人の感染者が1.49人に、現時点で感染させることが分かっている」とした上で、1人の感染者が平均して感染させる人数を示すRt(実効再生産数)を「1より小さくすること」が感染収束の目安になると指摘しています。
 どのような場所で、新型コロナウイルス感染症は広がるか。上のグラフ内Bの枠で示している感染者の多くが8人から12人の新たな2次感染者を生み出しています。その共通点が密閉、密集、密接の「3密」の環境下であることを、クラスター対策班は突き止めました。そして、「B枠に対応することでRtを0.5にする」必要性を訴えています。
 「報告されない感染者がいるとクラスターを見逃し、感染が広がらないか」との疑問に対しては、Aの枠で示す多くの感染者は、「2次感染者数が0人、いたとしても1人なので、見逃しても感染は(急速には)拡大しない」と説明しています。
 その一方で、B枠の感染者が調査を拒否したり、症状が軽く報告されない感染者がいた場合、「『3密』環境で濃厚接触者を多く生み感染を広げてしまう」と述べ、3密回避が不可欠であることを重ねて訴えているのです。
接触の8割削減
■8割減なら15日程度/7割減では34日必要
 その上で、そもそも人と人との接触機会を激減させること、「8割削減」を呼びかけています。
 クラスター対策班は、1人の感染者が平均して2.5人の感染者を生み出すと想定した場合、短期間で8割の接触減を行えば、15日間程度で感染者数を減少に転じ、感染を抑制できるレベルまで落とし込めると試算しています。感染してから報告までのタイムラグ(時間差)を考慮すると、減少が確認されるまで約1カ月を要します。
 一方、7割の接触減だと34日間程度、段階的に8割の接触減をした場合は39日間程度、それぞれ感染者の減少に時間がかかるとみています。
 この点について、クラスター対策班の西浦博教授北大教授は、「指数関数的に感染者が増加し始めた時に、何もしなければ爆発的な感染者数の増加が見込まれる」と警鐘を鳴らした上で、「感染者が多くなった状態でも、人口の中の接触の80%が削減できると、急激に接触を減らす対策をした時に、感染者が激減する効果が期待される」と強調しました。
 同じくクラスター対策班の押谷仁教授東北大教授は、「接触の8割減」ができれば「今回の緊急事態宣言の期間である25日以内に、急速に感染拡大を抑制することも可能」と対策への協力を繰り返し呼び掛けているのです。

 以下、専門家有志の会の西浦先生の話を要約しました。https://note.stopcovid19.jp/n/n1d0745601527
 日本では、コロナの流行を収束に向かわせるために、社会全体で、人と人との接触を8割減らすことが必要です。
 今回のコロナの対策に限った新たな目安として、「一人の人が相手と1m以内の距離で2〜3往復の会話をしたら、1接触と数える」「一人の人が相手と握手をしたら、1接触と数える」と考えてみることを提案します。
 相手との距離については、ほとんどの飛沫が落下し、相手に届かない距離として1mの距離が必要です。
 徹底して相手に飛沫が届かないようにするには2mの距離が必要となります。  
 つまり、相手との距離が2m空いているか、近くであっても「おはようございます」「おはようございます」だけだったら、「1接触」には数えません。
 また、仕事や友人関係で握手をするような身体的接触も「1接触」と数えます。握手以上の身体的接触は、「1接触」を超えるとお考えください。
 今日一日を締めくくる時間に、
 「今日の私の接触数はいくつだったのかな?」「誰と会ったのかな?」人と人との接触を8割減らすことは、社会全体で目指すべき目標です。