新型コロナウィルスの猛威は世界中を混乱と不安に陥れています。
その対策の基本は、「3つの密<三密>を避ける」の対策です。3月28日の会見で安倍総理は、「集団による感染のリスクを下げるため、いわゆる3つの条件をできるだけ避ける行動を改めてお願いいたします。第1に、換気の悪い密閉空間。第2に、人が密集している場所。そして第3に、近距離での密接な会話。密閉、密集、密接。この3つの密を避ける行動をお願いします」と訴えました。
最近の日本の建物は、「24時間換気システム」が義務化されています。住まいの高気密化が進み、室内で発生するホルムアルデヒドなどを屋外に排出する必要があったからです。2018年に化学物質の指針値が厳格化されるなど、「空気環境」はますます重要となっています。24時間換気システムには、「第一種換気」と「第二種換気」「第三種換気」があり、今まで、住まいの換気はローコストの「第三種換気」が主流でしたが、最近では給気も排気も確実に行う「第一種換気」を選ぶ人が増えています。
第一種換気:給気と排気のいずれも機械を使って行うものです。第三種換気は、空気と取り入れる給気は自然、排出する排気は機械を使うものです。第一種換気は、第三種換気と比較して導入時にコストはかかるものの、給気部分に各種フィルターをつけることで花粉やPM2.5など、有害物質の屋内への侵入を防ぐことができ、空気の質を保つことができます。
木造移動式住宅やコンテナハウス、トレーラハウスなど、防災のために活用する住宅(ムービングハウス)は、これまで以上に「換気」に対する取り組みの強化が求められます。
平成30年7月豪雨で岡山県倉敷市に設置され、令和元年東日本台風で常陸大宮市にも導入された、木造移動式住宅である「スマートモデューロ」は、高密度外断熱工法で、強力な第一種強制換気システムを備えています。部屋毎に独立した高性能集中換気システムが装備され、PM2.5対応高性能特殊フィルターの組合せにより、最良の隔離施設の提案が可能です。また、その住宅の設計上、吸気口と廃棄口が対角線上に配置されているために、換気効率が良いことも大きな特徴です。
さらに現在、京都府立大学の塚本康浩教授との共同開発によるダチョウ抗体フィルター(https://www.mbs.jp/mint/news/2020/03/18/075986.shtml)の試作及び換気システムへの搭載を準備中です。
旅客機は運航中、外の世界とは隔離されていますが、実は2分から3分で機内の空気が入れ替わるよう作られています。機内客室の空気は、外気を取り込んだ新鮮な空気と、高性能フィルター「HEPA(High-Efficiency Particulate Air)フィルター」を通した機内で循環させた空気を混合したもので構成されています。「HEPAフィルター」は、ウイルスなどを除去し、クリーンルーム並みの清潔な空気を提供できるという。このHEPAフィルターは0.3μmよりも小さな粒子を99.95〜99.97%捕集。新型コロナウイルスも、HEPAフィルターの繊維に引っかかって捕集されるといわれています。こうしたHEPAフィルターをムービングハウスに実装することも検討すべきです。
写真上:防災・家バンクホテル小美玉の外見
写真下:スマートモデューロに設置されたELフィルター(ELフィルターは、PM2.5対策高性能フィルターで、非常に小さな粒子まで分離できる高い性能を持っています。スウェーデン製)