小学校の事業風景
 日立市は、今後20年間にわたる小中学校の再編成計画をまとめました。子どもの数が減る中で学校の適正な規模を維持するには小中学校の統合などが必要だとして、市内に40ある小中学校を今後20年をかけて、およそ半数に再編する計画の素案をまとめ、10月末まで市民のパブリックコメントを募集しています。
 日立市には、現在小学校が25校、中学校が15校あります。市内の児童生徒数は年々減り続けており、本年度は2010年度に比べこの10年間で、小学生が32%、中学生は25%減少しました。国立社会保障・人口問題研究所の最新の推計では今後も減少傾向が続くと見込まれています。このままでは、学級数が減ってクラス替えができず、子どもたちの人間関係が固定される、野球やサッカーなどある程度の人数が必要な部活動ができないといった課題が生じています。
 日立市教育委員会では、多様な人間関係の構築や幅広い部活動の展開、教員数の確保には一定の学校規模が必要と判断。通学距離に配慮しながら統合を進める方針です。
 2016年11月に学校適正配置検討委員会(委員長・加藤崇英茨城大大学院教授)を立ち上げ、再編論議に着手しました。2018年3月に適正規模として「1学年当たり小学校は2学級以上、中学校は3学級以上」とする基本方針を策定しました。再編はこれに基づき、来年度から20年間を5年ごとに区切り、1、2期を1次計画(2021〜30年度)、3、4期を2次計画(2031〜40年度)と位置付けています。
 計画案では市内を7つのエリアに分け、まずは10年後までに現在の40校から30校程度にまで統合を進めていきます。さらに20年後までに、エリアごとに中学校が1校、小学校が1から3校になるよう統合を進め、エリアによっては小学校と中学校を小中一貫校にすることも検討します。
 1次計画では「山部小・櫛形小」「宮田小・仲町小・中小路小」「河原子小・大沼小・水木小を2校」「久慈小・東小沢小・坂本小を2校」「駒王中・平沢中」「河原子中・泉丘中」「久慈中・坂本中」の7組の統合を進めます。さらに中里小と中里中を義務教育学校を見据えた小中一貫校とします。
 統合する場合、対象校をいずれも廃校とした上で新設校として開校します。校舎は建て替えか大規模改修を基本に整備します。統合対象校ごとに保護者や地域代表者などで構成する準備委員会を設置し、校名や校歌、制服などを検討します。
 市内では本年度、小学校14校、中学校7校が適正規模を下回っています。市教委は複式学級や1学年1学級となった学校は早期の対応が必要として1次計画に盛り込み、子どもの数の推移を見極めながら、2次計画を含め最大で21校削減し、小中計19校体制とする構想です。

再編計画の具体案