災害時の迅速な避難支援を強化するための改正災害対策基本法が、今月(5月)20日に施行されます。災害時に市区町村が発表する避難情報を、緊急安全確保>避難指示>高齢者等避難>大雨・洪水・高潮注意報>早期注意情報の5つのレベルに改めることになります。
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■逃げ遅れの防止へ 避難指示に一本化
 改正法では、自治体が発令する避難情報について「避難勧告」を廃止し、「避難指示」に一本化します。
 自然災害が激甚・頻発化する中、住民の迅速な避難が課題となっています。住民の間で勧告と指示の違いが理解されず、本来は避難を始めるべきタイミングである「避難勧告」で避難しない人が多いためです。実際、差し迫った状況で発令する「避難指示」まで動かず、逃げ遅れる事例が多数起きていました。呼び掛けを分かりやすくし、風水害での逃げ遅れを防ぎます。
 また、レベル5の「災害発生情報」は、住民の取るべき行動が分かりにくいといった指摘があったことから、名称を「緊急安全確保」に改め、災害が発生・切迫している状況で少しでも安全を確保するよう求めます。
 内閣府によると、2019年の台風19号や昨年の7月豪雨では死者・行方不明者の6〜8割を高齢者が占めました。そこで、避難情報のレベル3では、避難に時間がかかる高齢者などへ避難を明確に呼び掛けるため「高齢者等避難」に改称します。
警戒レベルの一覧

【警戒レベル5】 緊急安全確保 (市町村長が発令)
レベル5●発令される状況:災害発生又は切迫(必ず発令される情報ではない)
●居住者等がとるべき行動:命の危険、直ちに安全確保!
・指定緊急避難場所等への立退き避難することがかえって危険である場合、緊急安全確保する。 ただし、災害発生・切迫の状況で、本行動を安全にとることができるとは限らず、また本行動をとったとしても身の安全を確保できるとは限らない。

【警戒レベル4】 避難指示 (市町村長が発令)
レベル4●発令される状況:災害のおそれ高い
災害が発生するおそれが高い状況、即ち災害リスクのある区域等の居住者等が危険な場所から避難するべき状況において、市町村長から必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令される情報。居住者等はこの時点で避難することにより、災害が発生する前までに指定緊急避難場所等への立退き避難を完了することが期待できる。
●居住者等がとるべき行動:危険な場所から全員避難
・危険な場所から全員避難(立退き避難又は屋内安全確保)する。


【警戒レベル3】 高齢者等避難 (市町村長が発令)
レベル3●発令される状況:災害のおそれあり
●居住者等がとるべき行動:危険な場所から高齢者等は避難 ・高齢者等は危険な場所から避難(立退き避難又は屋内安全確保)する。
※避難を完了させるのに時間を要する在宅又は施設利用者の高齢者及び障害のある人等、及びその人の避難を支援する者
・高齢者等以外の人も必要に応じ、出勤等の外出を控えるなど普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、自主的に避難するタイミングである。例えば、地域の状況に応じ、早めの避難が望ましい場所の居住者等は、このタイミングで自主的に避難することが望ましい。

【警戒レベル2】 大雨・洪水・高潮 注意報 (気象庁が発表)
レベル2●発表される状況:気象状況悪化
●居住者等がとるべき行動:自らの避難行動を確認
・ハザードマップ等により自宅・施設等の災害リスク、指定緊急避難場所や避難経路、避難のタイミング等を再確認するとともに、避難情報の把握手段を再確認・注意するなど、避難に備え自らの避難行動を確認。

【警戒レベル1】 早期注意情報 (気象庁が発表)
レベル1●発表される状況:今後気象状況悪化のおそれ
●居住者等がとるべき行動:災害への心構えを高める
・防災気象情報等の最新情報に注意する等、災害への心構えを高める。