日立市役所
 新型コロナワクチンの接種予約が、いよいよ75歳以上の高齢者から5月19日に始まります。65歳以上は6月1日から予約が始まります。接種開始は、5月24日からです。
 緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」の対象地域が相次いで拡大する中、高齢者への接種をできる限り円滑かつ迅速に進めることが、目下のコロナ対策の最重要課題です。菅義偉首相が7月末までに高齢者接種を終える方針を示したことを受けて、多くの自治体が接種を前倒し実施するため計画を見直しています。
 国の調査では、7月末までに高齢者への接種を終えられると答えた市区町村が80%を超えるとされています。個別の市町村の状況は公開されていませんが、日立市の接種計画の全体像はどのようになっているでしょうか?
 そもそも、日立市は掛かり付け医または最寄りの医療機関での個別接種のみで対応する計画です。予約に関しても、個別医療機関に直接電話(または通院時に予約)することになっています。

 日立市の人口は約17万3千人で、国が想定する接種率7割を当てはめると約12万人が接種を受けることになります。この内、高齢者は約5万9000人で、接種想定は4万2千人となります。1人2回の接種が必要ですので、高齢者枠で8万4千回の接種が必要となります。5月24日から7月末までの完了を目指します。
 日立市は、昨年10月〜12月の3ヶ月で、市内66カ所の医療機関で、述べ8万7千人のインフルエンザワクチンの接種を行いました。この実績をもとに、高齢者分の接種は、個別医療機関での接種で十分に可能であると判断しました。
 掛かり付け医の接種で対応できれば、接種する人の既往症などの情報を的確に把握していますので、安心して接種することができます。また、予約を個別医療機関の電話予約に限定したことで、コールセンターなどの対応より気軽に行うことも可能でしょう。ネット回線がパンクするとか、ネットスキルの差によって予約に不平等がでるといったこともありません。
 しかし、ここに来て日立市のこの対応に一抹の不安がでてきました。本当に、市民のいのちと健康を守るための最善の施策なのかと疑問です。いくつか具体的に指摘したいと思います。

  1. 日立市は高齢者のワクチン接種をいつまでに完了したいと考えているのか、その全体計画が見えません。冒頭にも書きましたが、国は7月末までの接種完了を目指してます。日立市の計画は、いつまでに高齢者の接種を完了するか、市民に明示すべきです。
  2. 仮に7月末までに接種が終わらないということならば、その善後策を検討しなくて良いのでしょうか。他の自治体は、集団接種も含めて真剣に対応策を検討しています。その姿が見えないのはとても残念です。
  3. 予約も接種も医療機関に一任という体制は、市の責任を放棄した、いわば“丸投げ”ではないでしょうか。「ワクチン接種ひたちコールセンター」に問合せをしてみました。「どの病院は何人ぐらいの予約を取るのですか」との質問に、「個別の医療機関の接種計画はここではわかりません。その病院がいつ、何人ぐらい接種するかは、その病院にお任せしています」との回答でした。市はどのように各医療機関をコントロールするのでしょうか。個別の医療機関が、もう忙しいからワクチン予約は受けないでおこう、予約時間を限定しよう、といった意思が働いたら、接種はどんどん遅れてしまいます。
  4. 予約は電話のみが原則ですので、各医療機関には電話が集中することになります。市の担当者は、「ワクチン接種は、希望する方全員が受けられます。予約の電話がつながりにくいつながりにくい場合は、お手数でも時間をおいてからおかけ直し下さい」と繰り返し説明します。しかし、よく考えるとワクチン接種以外の診療のための電話も全くつながらなくなります。これでは、一般診療に大きな支障が出るのではないでしょうか。
    なお、ひたち医療センターなどのように、ワクチン接種予約専用電話を設けた医療機関もあります。危機対応としては素晴らしいと思います。
  5. 個別の病院毎に対応が異なり、市民に混乱や不公平感が生まれないか心配です。
    日立市の中核病院である「日立製作所日立総合病院」のホームページを確認してみました。日製病院は「対象は日製病院からのみ定期的に処方箋が出されている患者さん。電話での予約は受け付けていません。日立市からの通知にある電話番号は、電話での予約を受け付けていないという音声ガイダンスが流れるのみとなっています」とうことです。日立市の通知は日製病院に限っては、間違った案内ということになります。
    あわせて、日製多賀クリニックは、予約に際して診察券の登録番号が必要としています。最寄りの医療機関で接種できるという原則からは逸脱しています。(蛇足ですが、同クリニックは5月6日から75歳以上の予約を受け付けています)
  6. 平日働いていて土日しか接種できないとか、夜間の接種希望といった市民への対応が全くなされていません。「ワクチン接種ひたちコールセンター」では、「個別の病院が土日診療を行っているかの情報は持っていますが、ワクチン接種を土日に行うかどうかはその病院に聞いてほしい」との返答でした。ちなみに、日曜日に診療を行っている医療機関は、日立市内にはとても少ないのが現実です。その医療機関が休日にワクチン接種をしてくれるかどうかも分かりません。まさに、個別医療機関“丸投げ”の弊害です。(私の知る限り南高野医院と西野医院は、日曜日診察してくれています)
 こうした現状に対した指摘は、すこしネガティブ過ぎかもしれません。
 今一度確認ですが、日立市の高齢者は約5万9000人で、接種想定は4万2千人。1人2回の接種が必要ですので、高齢者枠で8万4千回の接種が必要です。4万2千件の予約を66の医療機関が平均して受けるとすると636件です。そして、接種回数は1372件です。7月末日までの稼働日数を51日とすると、1日25件の接種を行えば良いことになります。1日25件という数字は、決して絶望的な数ではないでしょう。(医療機関によっては、接種時間を2時間程度に限定していますので、実際には1日10件程度なのかもしれません)
 ただし、予約はそうはいきません。4万2千人の3割が初日に電話を入れたと仮定すると、総数は4200件。66医療機関で割ると190件となります。1本に3分対応するすると570分で、9.5時間となります。1割だと3時間20分弱です。
 予約に関しては、私たちが冷静に対応すれば乗り越えられるかもしれません。

 ただ、土日や夜間の接種体制や高齢者の次に始まる一般の方の接種は、集団接種も検討すべきです。
 その意味では、「日立メディカルセンター」の活用はどうしても必要だと思います。日立地区、多賀地区、十王・川尻地区、大みか地区にも土曜日、日曜日、祝祭日に接種可能な集団接種会場を設定すべきです。担当医師は、皮膚科や眼科、精神科などワクチン接種を行っていない医師にお願いすべきです。他の自治体も行っている歯科医の協力も得るべきです。
 さらに、工業都市ひたちという性格をみても、職域(企業内)での集団接種も強く推進すべきです。

日立市新型コロナワクチン接種のお知らせ第2報

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