長久保赤水スペシャルムービー上映会
 江戸時代に今の高萩市に生まれ、広く使われた日本地図を作ったことで知られる長久保赤水を紹介するスペシャルムービーが完成し、5月22日高萩市文化会館でお披露目上映会が開催されました。
 長久保赤水は水戸藩の儒学者で、江戸時代、各地の地図や資料を基に日本地図の作成を手がけました。
 この赤水の地図や文書など693点が去年、国の重要文化財に指定されたことから、出身地の高萩市は、多くの人に赤水の功績を知ってもらおうと映像作品を制作しました。
 作品はおよそ50分で、狂言師の和泉元彌さんが長久保赤水を演じ、赤水の学問にかけた情熱や日本地図を完成させるまでの奮闘などが描かれています。
 お披露目会では、新型コロナウイルスの影響で会場に来ることができなかった和泉元彌さんからのメッセージ動画も上映され、和泉さんは「この作品が、今と未来を生きる若者たちと300年前の赤水氏が出会うきっかけになることを願っています」と挨拶しました。
スペシャルムービー上映会
 2020年9月、高萩市赤浜に生まれた江戸時代の儒学者であり、地理学者である「長久保赤水」が遺した資料693点が、国の重要文化財に指定されました。
 高萩市はこれを記念して、高萩郷土の先人「長久保赤水」の生涯と功績を紹介するスペシャルムービー『その先を往け!日本地図の先駆者 長久保赤水』を製作しました。
 このスペシャルムービーは、主演に和泉元彌さん(狂言和泉流二十世宗家)を迎え、映画「ある町の高い煙突」の松村克弥監督がメガホンをとりました。
 スペシャルムービー『その先を往け!日本地図の先駆者 長久保赤水』は、単に赤水の功績をなぞった記録映画ではありません。松村監督は、農民の出身でありながら学問を究め、そしてその学問を人のために活かそうと努力した赤水の生き様を描きました。また、その陰にあった、二人の母親や友人の存在を温かく表現しました。
 上映会に参加した多くの高萩市民が、感動の拍手を送りました。
 一般的な自治体が作るPR動画の枠を、はるかに超えていると思います。
 今後、このスペシャルムービーは、高萩市の名所紹介なども加えられ、ネットでも公開される予定です。

赤水日本全図
 長久保赤水(1717〜1801)は、茨城県高萩市赤浜に生まれ、生涯を通して農政、天文、地図、紀行文など、多岐にわたる書物や資料を著しました。
 また、農民に生まれながら優れた学識を有した赤水は、郷士に取り立てられ、水戸徳川家第6代藩主徳川治保の侍講を務めました。
 先人による国絵図・地誌などの多くの資料や自身の経験と天文学の知識、交流のあった知識人からの情報などを整理して「改製日本分里図」を製作しました。
 これをもとに安永9年(1780)には「改正日本輿地路程全図」(通称:赤水図)を大坂で出版。赤水図は、多くの情報(地理・地名情報等)が盛り込まれ、当時としてはかなり正確で使いやすいものであったため、赤水が没した後も版を重ね、ロングベストセラーとして多くに人に愛用されました。
 伊能忠敬が測量地図(1821年)を作成するよりも40年前に、実用的な日本地図を販売しました。
 赤水図は、オランダ商館長やシーボルトらを通して海外にも知られ、各国で翻訳され活用されました。吉田松陰をはじめとする幕末の志士が愛用したのもこの赤水図でした。