令和元年人口減少ワースト20
 8月3日、明秀学園日立の探求学習のお手伝いで、「日立市の人口減少と地方創生の課題」とのテーマで、高校性と勉強会をしてきました。
 日立市にとって、その人口減少は深刻な課題です。7年ほど前、長崎や呉、横須賀などと並んで日立市は、人口減少ワースト都市としてマスコミにもてはやされました。
 日立市も魅力発信事業の展開、子育て支援の充実、地域おこし協力隊の活動など様々な事業を展開してきましたが、その成果は表れてきていません。
 それどころか、MHPSの三菱パワーへの転換(日立製作所日立工場が三菱重工の工場に転換)や、日立化成、日立金属(日立電線)の売却、世界的な火力発電所の新設案件の減少、脱カーボンの動きなど、日立市の産業構造は劇的な変化を遂げています。
 最近の人口減少の動向と課題を改めて、生徒さんらと話し合い考えてきました。
日立市の人口減少と将来予測
  • 日立市の人口は、 戦後の高度経済成長期に、 主に生産年齢人口 (15〜64歳)を中心として急激に増加しましたが、1983年(昭和58)年の206,260人をピークに減少傾向に転じています。
  • 2020年には176,117人に減少しました。今後の人口推計は、2025年に165,443人、2030年153,608人と16万人台を割ることになります。24年後の2045年には117,304に減少するとされています。2035年には、現在県内人口4位のひたちなか市に人口規模で逆転することになります。
  • 人口の推移を年齢3区分別で見た場合、年少人口 (0〜14歳)は、第2次ベビーブームで一時的な増加が見られた後は減少傾向が続いています。
  • 生産年齢人口は、1990(平成2)年の約14.2万人をピークに大幅に減少しており、2019(令和元)年には約10万人となりました。
  • 総人口が減少傾向にある中で、老年人口(65歳〜)は、 一貫して増加傾向が続いており、2000(平成12)年には年少人口を上回り、2019(令和元)年には総人口に占める割合が32%を超えています。2040年には、増え続けた高齢人口も減少に転じます。

日立市の人口の社会減
  • 社会動態の推移をみてみると、1950年代後半から1970年頃までは、転入者数が毎年1万人を超えていましたが、その後減少に転じ、1975(昭和50)年以降は、転出者数が転入者を上回る社会減(転出超過)の状態が続いています。
  • 製造業の海外移転、重厚長大の製造業から高付加価値の工業製品への産業構造のシフトなど、工場で働く人の減少が最も大きな要因です。
  • また、社宅や社員寮、公営アパートなどで生活していた住民が、市外に持ち家を求めたことも要因の一つです。

日立市からの転入・転出場所
  • 人口移動を地域別に見ると、「水戸市近隣」及び「東京圏」への転出超過が大きい状況です。特に、ひたちなか市や東海村への転出が目立ちます。広くて安価な住宅を求めて、市外に転出したことがうかがわれます。また、公園や商業施設など住環境に恵まれていることも移転の理由です。
  • 福島県を含む日立市以北の地域及び国外との間では転入超過となっています。海外からの労働者の増加も注目されます。

日立市の女性の年齢別人口構成
  • 高校生との探求学習で話題にしたのは、若い女性の人口流出です。つくば市の女性の年齢別人口構成と比べると、その人口構成が全く異なっていることに気づきます。
  • 日立市では20〜24歳、25〜29歳、30〜34歳という若い女性の割合が明らかに少ないことに注目しました。日立市から若い女性が流出していることになりまます。
  • 若い女性に魅力がある日立づくりを行っているのか?当然、働く場を作ることは重要ですが、行政や市民レベルで出来る人口減少対策の大きなポイントであることを確認しました。

人口減少への対応
  • 高校生の皆さんからの質問の中で、「人口流出を防ぐために私たちのような若い世代の人達にできることはありますか?」という項目がありました。
  • そもそも、人口が多いことが良いことなのかという問いかけも大事
  • 多様性を認めた生き方の確立が必要(参加した高校生の中には、男性で将来結婚したいと思わない、女性で子どもを作るより仕事のしっかりやりたい、などの声がありました)
  • 「自分らしい生き方を追求しよう」と結論づけました。
  • 生徒たちは、夏休み明けに、日立市の人口減少の実態をみんなに広く知ってもらう活動やアンケート調査などを行って、さらに議論を深めていくそうです。