最終処分場の建設予定地
 茨城県が関与する新たな産業廃棄物最終処分場の候補地として、茨城県が日立市諏訪町の採石場跡地(旧日立セメント太平田鉱山)を選定したことを巡り、日立市の小川春樹市長は「県の要請を受け入れることを決意した」と市議会全員協議会で述べ、処分場受け入れを正式に表明しました。

 県が昨年(令和2年)5月、採石場跡地を最終候補地に絞り込み、市に受け入れを要請してから1年2カ月余り。市が受け入れを決めたことで、県内2カ所目となる公共処分場の整備に向け、県は今後、処分場整備の基本計画策定に着手し、進入道路の整備を行い2025年度の供用開始を目指すことになります。
日立市の最終処分場完成予想図
 令和元年に採掘を終了した日立市諏訪町の採石場跡地。日立セメントが、長年原料の石灰岩を採掘していた太平田鉱山跡地が、新たな産業廃棄物最終処分場の候補地として、選定されたのは昨年5月でした。
 小川市長は、公表当初から「市民、市議会、企業などの動向を見極める」として、市議会の動向を重視してきました。県からの協力要請を受けた当初、「誠に不本意だ」と不快感をにじませた小川市長ですが、市議会が結論を出すまで、積極的に自らその賛否を示すことはありませんでした。
最終処分場建設に反対する市民が、市長と直接、話し合う場は一度も作られませんでした。「処分場整備の事業主体は県。説明責任を果たすのは県だ」と、6月末の定例会見で小川市長は語りました。
しかし、事業主体が県であるならば、住民の声を集約し、その賛否を代弁するのは市の役割であったはずです。日立市は、昨年5月、県の候補地決定の結論を聞いた。としていますが、これも不自然です。最終候補地決定の前に、日立市の立場を明確に表明することが出来なかったのか、疑問が残ります。

 この1年あまり、日立市は慎重に議論を積み重ねてきたことは事実です。その過程で、新たな取り付け道路を整備する決定もなされました。大平田地区への上下水道整備など地域振興策も具体化する方向です。小川市長は会見で「県からごみ容量に応じ24億円をやや上回る財政支援が得られる見込みである」との財政支援も明らかにしました。こうした追加策は、大いに歓迎し評価したいと思います。

 大きな反対運動で建設が遅れた「エコフロンティアかさま」は、結果的に環境への悪影響はほとんどありませんでした。一時、経営的に悪化した時期もありましたが、現在は、収益を確保し環境行政にも寄与しています。さらには、東日本大震災では被災地のがれき処理に大きな役割を果たし、被災者の生活再建に貢献しました。

 建設に向かってゴーサインが出た現在、日立市は市長を先頭に、市民の不安払拭と環境保全、地域の生活環境の改善、交通安全対策などに積極的にリーダーシップを果たすべきです。

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