ALTのイメージ写真<この記事には関係ありません>
 8月18日、県外の方からALTの待遇問題について、ご相談を受けました。
 ALTとは、アシスタント・ランゲージ・ティーチャーの略です。英語教育の補助教員として、公立の小学校、中学校、高校で働いている外国人労働者です。
 ALTは、日本政府(文部科学省)が、JETプログラムを導入した1987年に導入されました。英語教育が必修となり、子どもたちに生の(ネイティブの)英語に触れてもらいために、大変重要な役割を果たしています。

当初、文部科学省が管轄する「JET ALT」のみが、小中学校に派遣されていましたが、現在では、市町村の教育委員会、または市町村が委託した民間会社(外国人材派遣会社)が管轄する「NONーJET ALT」の2種類が存在します。
 文部科学省が管轄する「JET ALT」は、政府によって手厚い生活の保障がされています。
一方、問題なのは教育委員会が管轄する「NONーJET ALT」です。彼らは、生活の保障はなく、まともに生活が出来ない賃金で働いています。
さらに、各地方自治体の教育委員会が、その実態に目を背けている現実があります。首長や地方議員も、現状を余り理解していないようです。
「JET ALT」と「NONーJET ALT」の違い
 仕事の内容に関しては、2つのタイプのALTに違いはありません。しかし、労働条件に関しては、天と地ほどの差があります。
「JET ALT」、一般的にはフルタイムで働いています。社会保険にも加入していて、賃金も決して低くありません。
 それに比べ、「NONーJET ALT」は、パートタイムで働いており、週の労働時間が29.5時間に制限されています。(今回ご相談を受けた方は、ほとんどフルタイムで勤務していました)

「JET ALT」
契約年数の上限は5年間
年収は336万円からで毎年昇給します
教員資格は必要なし
文部科学省による管理
社会保険加入

「NONーJET ALT」
契約年数に上限はありません
年収は230万円前後で昇給はほぼありません
教員資格は必要なし
民間企業による管理
社会保険に加入させてもらえない(国民健康保険)

今回相談を受けたAさんは、県内の中学校で民間企業の人材派遣会社を通し「NONーJET ALT」として働いていました。
 当該自治体の教育員会は、月36万円程度で契約を交わしています。しかし、Aさんの手取りは20万円程度だったと言います。実働で40時間ほどありましたが、社会保険もありませんでした。
その上、実働時間で給与計算されますので、夏休みのような長期休暇では、一切賃金が払われませんでした。
 こうした劣悪な状況で、しっかりとした英語教育が出来るわけがありません。Aさんは、退職を余儀なくされました。

法的には、Aさんを雇用していた人材派遣会社に不備はないかもしれません。しかし、教室での教育の質を高めるために、市町村教育委員会は「NONーJET ALT」の実態を調査し、対応を図るべきです。