温室効果ガスの依経による気温上昇
 地球温暖化対策を話し合う国連の会議「COP26」に向け、今月末から準備会議やユースサミットがイタリアで開催されます。
 8月9日には、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が最新の報告書を発表しました。

地球温暖化への温室効果ガスの影響を“断定”
 IPCCは、温暖化対策を各国が検討する上で基礎となる科学的知見を提供する機関で、IPCC自体は研究を行う機関ではありません。世界中の研究者に協力を募って最新の研究成果を分析し、最新の知見をまとめた報告書を1990年から発表しています。
 温暖化の科学的根拠等を扱う第1作業部会、社会や経済、自然への影響等を扱う第2作業部会、対策(気候変動の緩和策)等を扱う第3作業部会などがあります。
 8月に公表された第1作業部会の報告書の執筆には、66カ国から200人以上の専門家が結集し、1万4000本の論文が引用されました。来年には第2、第3作業部会の報告書も発表され、最終的に第6次評価報告書としてまとめられる予定です。
 今回の報告書で特に注目すべき点は、主に石油や石炭など、化石燃料の使用による「温室効果ガス」の排出による人間の活動によって、地球温暖化につながったことは「疑う余地がない」と断定したことです。
 これまで、2001年の第3次評価報告書では、人間の活動が温暖化に影響している可能性について『高い』と記述されました。2007年の第4次評価報告書では、『非常に高い』、2013年14年の第5次評価報告書では『極めて高い』と記されましたが、断定までには至りませんでした。
 今回、断定に踏み切った背景には、産業革命以降、19世紀後半からの世界の平均気温が過去2000年の間に前例がない速度で上昇しており、過去10万年で最も地球が温暖だったとされる時の推定気温を超えているという研究結果があります。  
 さらに、自然の影響のみの場合と、そこに人間の活動が加わった場合で気温上昇の推定値を計算すると、人間の活動が加わる場合の試算が現在の観測値とほぼ一致することなども挙げられています。

 さらに報告書では、熱波や大雨、干ばつ、熱帯低気圧などについて人間の活動が寄与したことを示す証拠が上げられています。
 地球温暖化は、温室効果ガスによって地球から宇宙空間に熱が放出されにくくなることにより起きます。地球にこもった余剰な熱の90%以上は海に蓄えられています。海水温は気温ほど容易に上昇しませんが、増えた熱によって水蒸気の発生量が増え、台風の大型化や豪雨につながっていることが既に検証されています。
 また「50年に一度」といわれる暑い日は、産業革命前と比較して4.8倍に増加しているとの研究結果が出ました。現在は産業革命前よりも平均気温が1度上昇していますが、今後、1.5度上昇した場合は8.6倍、2度になると13.9倍の頻度になると予測されています。

 向こう数十年の間に温室効果ガスの排出が大幅に減らない限り、世界の平均気温は21世紀中に1.5度〜2度上昇することが示されました。
 人間の活動に起因する地球温暖化を一定程度に抑えるためには、二酸化炭素やメタンをはじめとする温室効果ガスの排出量を制限しなければなりません。パリ協定に基づき2020年に各国が提出した温室効果ガスの削減目標では不十分であることが分かっていますから、目標の引き上げが求められています。
 日本政府も昨年、2050年までに国内の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しましたが、具体的にどう実行していくのかを詰める必要があります。
 私たち市民レベルの活動では、日々の消費行動を見直すことや、省エネの心掛けなどが大切です。それだけでは限界があるのも事実ですが、社会を変える力としての市民の声は重要です。