今年(令和3年)8月日立市は、茨城県が新たに建設する公共関与の産業廃棄物最終処分場の受け入れを表明しました。日立市報・令和3年9月20日号の記事をもとに、その経緯をまとめました。

管理型産業廃棄物最終処分場とは
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 廃棄物は法律上、産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。例えば、工場や工事などの事業活動によって出るものが産業廃棄物であり、家庭や会社の事務室などから出るものが一般廃棄物です。県内では、各事業者の循環型社会形成への取組によって、排出された産業廃棄物の約96パーセントがリサイクルや減量化され、最終的に約4パーセントが最終処分(埋立て)されています。
 管理型最終処分場は、廃棄物中に浸透した雨水(浸出水)が地下へ浸透しないように、遮水工を講じて埋立地の周囲に影響を与えないよう管理している処分場です。
 住民の暮らしにおいて安全で豊かな生活を確保するためには、産業活動において発生する産業廃棄物をすべてリサイクルできない現状においては、どこかに産業廃棄物最終処分場を建設する必要があります。

これまでの経過
  • 現在、管理型の最終処分場は県内に4施設ありますが、いずれも残りの埋立て容量が年々減少し、県内最大施設である県関与の処分場「エコフロンティアかさま」も令和7年度には埋立てが終了となる見込みです。
  • この状況を踏まえ、県では、県関与による新たな管理型産業廃棄物最終処分場を整備する方針をまとめました。そして、有識者などによる一連の選定経過を経て諏訪町を整備候補地に決定し、昨年5月、県から日立市に対して施設整備を受け入れるよう要請がありました。
  • 日立市では、市民の理解を得ることが何より重要であると捉え、県に対して丁寧な説明を求めてきました。その後、1年以上をかけて県による住民説明会や「エコフロンティアかさま」の見学会などが行われました。
    ※住民説明会 令和2年6月〜8月(計40回)
    ※エコフロンティアかさま見学会 令和2年7月〜11月(計11回)
    ※フォローアップ説明会 令和3年3月〜4月(計14回)
  • また、県が実施した全ての住民説明会などへ市職員が赴くとともに、市役所に直接寄せられた声も参考に、県の対応策を検証してきました。
  • 210918shiho003その結果、県による住民説明会などの取組により、施設の必要性や安全性、最大の懸案であった搬入道路の整備や地域振興策の実施など、県の対応策への理解が進んできていることや、市民の不安や懸念などの意向を反映した対応策となっていることを日立市は確認しました。
  • 一方、一般財団法人茨城県環境保全事業団が運営する「エコフロンティアかさま」は、平成17年8月の開業から現在に至るまで、周辺環境への影響もなく安全に運営されており、循環型社会における役割を果たしています。
  • 産業廃棄物最終処分場は、産業が動けば必ずと言っていいほど廃棄物が出てくるという営みの中では、必要不可欠な施設であり、どこかがその役割を担う必要があります。
  • このような認識のもとに、ものづくりのまちであり、循環型社会の形成を掲げ環境都市宣言をしている日立市は、総合的に判断し県の要請を受け入れることとなりました。
市議会における決議
  • 市民の代表である市議会では、昨年6月に新産業廃棄物最終処分場整備調査特別委員会を設置し、14回に及ぶ委員会の開催を経て、県の対策が確実に実行されることを前提として市が受け入れることを容認する結論を決定し、令和3年第2回(6月)定例会において「新たな産業廃棄物最終処分場整備の受入れに関する決議」が可決されました。


受諾する旨を県へ回答
日立市では、新処分場整備の受入れを決定したことから、茨城県に対し、
  • 施設の整備及び運営に当たり、地域住民の安全確保、生活環境の保全及び不安の解消を図るため、万全の対策を講じること
  • 生活環境に悪影響が生じないよう、施設には近年の自然災害も踏まえた万全の環境保全対策を講じること
  • 施設の整備中及び運用中において、施設の安全性や環境測定結果などに関する情報を住民にわかりやすく公開すること
  • 施設への搬入車両の通行については、搬入ルートの遵守と万全な交通安全対策を実施するとともに、地域住民の生活に支障が出ないよう措置を講じること
  • 地域振興のため、生活環境の向上に必要なインフラ整備や地域資源を生かした環境整備などを確実に実施すること
  • 回答内容について、茨城県知事と日立市長との間で確認書を交わすこと
などを条件として受諾する旨を、8月5日に回答しました。

これからの動き
  • 210918shiho004今後、県による整備候補地の詳細な調査や整備基本計画の策定が行われ、その内容等については節目ごとに市民の皆様などへの説明機会が設けられます。市では、安全な施設整備を最優先事項として、周辺環境に影響が生じないことなどをしっかりと確認していきます。このようにして、令和7年度中の完成を目途に新処分場の整備に向けた取組が進むことになります。整備基本計画の策定と基本設計は県が行い、実施設計・施工と処分場の運営は茨城県環境保全事業団が行います。
  • また、地域振興事業を実施するため、茨城県、茨城県環境保全事業団、日立市の三者で構成する協議会等を設置します。市では、地域の皆様のご意見を伺いながら地域振興事業を取りまとめ、この協議会等で検討を行い、具体的な実施内容を決定することとしています。

日立市報・令和3年9月20日号<PDF版>