相馬市の被災状況
 福島県相馬市は、2019年10月に、2度のわたる水害被害を受けました。10月12日には、台風19号の豪雨で市推計2993戸もの住宅浸水が起きました。さらに、10月25日〜26日にかけての台風21号による大雨でも多大な被害が発生しました。
 そして、2021年2月には福島県沖発生した震度6強の地震に見舞われました。全壊6戸、半壊114戸、一部損壊2592戸という大きな被害が出ました。
 さらに今年3月にも震度6強の地震発生。4月14日現在で、全壊14戸、半壊216戸、一部損壊1412戸という被害が報告されています。
 東日本大震災以来11年の中で、水害、地震と度重なる大規模自然災害を被った相馬市民には、「なぜこの地域ばかり何度も被災するのか、本当につらい」といったため息まみれの声が聞こえてきます。
 4月9日に行った現地調査をもとに、相双地域の産業復興を中心に提案書を作成し、公明党の石井啓一幹事長をはじめとする国会議員に、グループ補助金の充実などを提案しました。
 以下、その内容をご紹介します。
3月16日に発生した震度6強の地震被害の対応について
 3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震で、震度6強が観測された相馬市を、4月9日に訪れ、被害状況を調査し、様々なご意見を伺いました。
 今回の調査は、東日本大震災以降、連携をとっているプロボノ(各分野の専門家が、職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動家)・木村悟隆准教授(長岡技術科学大学)、長谷川順一氏(建物修復支援ネットワーク代表)、相馬市議会公明党・高橋利宗議員にご同行いただきました。
 政府は4月8日、この地震で被災した企業や住民向けの支援策をまとめました。中小企業・小規模事業者を対象に「グループ補助金」を適用し、施設や設備の復旧費用の最大4分の3を補助することになりました。住宅が全壊した世帯に対する支援金の支給や、特例として半壊した家屋の解体支援も盛り込まれました。昨年2月の本県沖地震時と同等の支援内容となり、被災地の事業再開と生活再建につなげる目的です。
 グループ補助金は、福島、宮城、岩手3県の事業者が対象。2社以上で復興事業計画を作成すると、国と県が最大4分の3を補助します。東日本大震災や新型コロナウイルス感染拡大などで過大な債務を抱える事業者には、最大5億円を定額補助します。
 住まいの再建では、被災者生活再建支援法を適用している福島、相馬、新地、南相馬、国見の5市町で、住宅が全壊した世帯に最大300万円を支給します。家屋の解体費も補助し、全壊だけでなく半壊の家屋も対象に加えます。
 こうした政府の対応は、公明党の現場第一で国会議員と地方議員が連携し、いち早く実現した実績であり、被災された方々も高く評価していました。
 しかし、現地で被災者の声をうかがった中では、この支援策だけでは、今回の震災の復興にはおぼつかないという現状です。
 まず、グループ補助金に関しては、昨年の地震でもグループ補助金を受けている事業者も多く、続けての被災にあるため、4分の1の自己負担分についても支援が絶対に必要であるということです。
 さらに、昨年のグループ補助金の上乗せ支援について、売上の減少などの要件が付加されていましたが、その要件も外してほしいとの要望が強く寄せられました。
 また、グループ補助金の支給対象に、工場の食堂・休憩室、トイレ、通路などの施設の改修は含まれていないため、支給対象とすべきとの意見がありました。
 被災現場では、建物のみならず敷地自体の不等沈下や地盤の崩れなどが多く見られました。支援の対象に、多大な負担となる地盤改良の費用を含めるべきです。
 被災した施設、住宅等を具に調査すると、外見はほとんど痛んでいなくとも、基礎が破損している事例が多く見られました。外見の目視などによる被害認定の際、慎重な基礎の損傷調査が必要と実感しました。被災者の申し出による写真のみなどのよる申請では、破損の状況を正確につかめない「隠れ破損」が多く発生します。
 以下、具体的に5点の追加支援策を提案いたします。何卒、ご検討の程よろしくお願いいたします。
【 記 】
  • 連続して発生した地震や水害の被災者には、グループ補助金の自己負担4分の1に対して、上乗せの支援を行い、実質的に自己負担をなくすこと。
  • グループ補助金の上乗せ支援については、売上の減少などの要件をなくすこと。
  • グループ補助金の支給対象に、工場の食堂・休憩室、トイレ、通路などの付帯施設も含めること。
  • 被災現場では、建物のみならず敷地自体の不等沈下や地盤の崩れなどが多く見られました。支援の対象に、多大な負担となる地盤改良等の費用を含めること。
  • 住家の被害認定調査の際、基礎の破損について慎重に調査すること。