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2021年4月12日撮影

 可愛らしく慎ましやかな花を咲かせるネモフィラ。北米・カリフォルニア原産の一年草。「ネモフィラ」の名前にはギリシャ語による「nemos(小さな森)」と「phileo(愛する)」の意味が組み合わされています。ネモフィラは森の周辺で群生していることが多いため、この名前になりました。
 ネモフィラが日本に渡ってきたのは100年以上前の1877(明治10)年になります。ネモフィラの和名は「瑠璃唐草(るりからくさ)」。花が瑠璃色、葉っぱが唐草模様だったため、日本式の呼び名がこうなったと言われています。
 ネモフィラを、日本一の規模・花本数という壮観の光景で楽しめるのが、茨城県ひたちなか市にある、“国営ひたち海浜公園”です。ひたち海浜公園で咲き誇るネモフィラは、「インシグニスブルー」。淡く青い花色から英名では「ベイビーブルーアイズ(赤ちゃんの青い目)」と呼ばれています。
 ひたち海浜公園の用地は、旧日本軍の東水戸飛行場でした。戦後の昭和21年に連合国軍に接収され、昭和24年からは在日米空軍の対地射爆撃場として利用されました。これが「水戸射爆場」です。茨城県内では唯一の米軍基地となりました。
 様々な不幸な事件・事故を経て、昭和46年3月に日本に返還されました。その後、国はここに広さ350haの広大な自然公園を整備しました。
 このひたち海浜公園にネモフィラの種が初めて蒔かれたのは2001年。花が咲き始めたのは翌年の2002年です。当初は植栽面積1.5ヘクタール、花本数は200万本という形で試験的に開花させていました。年を追い、徐々に規模を増やしていき、2008年に現在の植栽面積および花本数である3.5ヘクタール、450万本となりました。また、2006年からは青一面の花景色となる『ネモフィラハーモニー』が開催されるようになりました。
 ネモフィラを堪能できる抜群のロケーションは、公園内の「みはらしの丘」です。みはらしの丘は、茨城県内の工事で発生した建設発生土を使って整備された人工の丘。ひたちなか市では最も高い丘であり、西方面には那須連山、南方面には筑波山を眺めることもできるのです。ちなみに、みはらしの丘の第一頂上は海抜38m、第二頂上は海抜44m、第三頂上は海抜58mになっています。
 2013年夏に『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』という書籍が発行されました。この書籍は数多くのTV、雑誌で紹介され、Amazon総合ランキングでも1位を獲得しました。ひたち海浜公園ネモフィラは、見事「絶景ランキング第2位」に輝き、一挙に、国内トップクラスの観光地に仲間入りをしました。
 私は、このひたち海浜公園を何十回と訪れ、写真や動画に収めています。振り返ってみると2006年から写真の記録が残っていました。世界の絶景といっても、毎年その風景は変わります。そこを訪れる人も変わります。東日本大震災、コロナ禍、ウクライナ戦争などなど、その環境は大きく変わります。16年分の写真から13枚の写真を選びました。その変化をお楽しみ下さい。

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2006年5月3日撮影

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2010年5月13日撮影

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2011年5月16日撮影

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2012年5月1日撮影

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2013年4月19日撮影

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2014年4月23日撮影

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2015年5月6日撮影

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2016年4月15日撮影

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2017年4月30日撮影

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2019年4月23日撮影

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2021年4月12日撮影

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2022年4月25日撮影