SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称で、2015年9月の国連サミットにおいて採択された国際目標です。2030年までに「誰一人取り残さない」社会を実現するため、17のゴールと169のターゲットで構成されています。SDGsは、世界中のすべての国や地域で取り組むべき目標であり、私たち一人ひとりが達成に向けて主体的に行動することが求められています。
 茨城県議会公明党は、このSDGsの取り組みを、県議会のどの会派よりも早く平成29年第1回定例県議会(2017年3月3日)の代表質問で取り上げました。それ以降、さまざまな視点で茨城県におけるSDGsの議論をリードしてきました。このブログでは、4期16年県議会議員を務め、この1月7日をもって勇退した、田村けい子議員の議会質問を中心に、県議会公明党のSDGsの推進、そしてその基本となる平和創出への活動についてまとめました。

平和創出への活動/『非核平和茨城県宣言』の実現
(平成21年第3回定例県議会一般質問)
田村けい子県議の一般質問 田村けい子議員は、「知事が率先して各都市に呼びかけ、ヒロシマ・ナガサキ議定書への賛同を促していくべきと思いますが、核廃絶にどのように取り組まれるのか」と、県議会一般質問で、橋本昌知事(当時)に質問しました。
 核兵器は人類の尊厳を根源的に脅かす『絶対悪』であり、『国家の安全保障』のみならず、地球上のすべての人々の平和と尊厳を追及する『人間の安全保障』とは決して相容れないものであるとの信念を、県民一人一人が持たなければならない。
 その上で、「核廃絶は国家のみの問題ではなく、より多くの人が自らの問題として捉えることができるように働きかけをして行く必要がある。
 との視点から、茨城県としても、核廃絶への姿勢を明確にする必要性を力説しました。
 これに対して橋本知事は、「核廃絶への自治体としての宣言は、すでに多くの都道府県が行っており、県議会とも相談し、できるだけ前向きに対応しておきたい」と、答弁しました。
 この議論をきっかけに、平成21年12月9日、茨城県議会では「『非核平和茨城県宣言』に関する決議」が全会一致で決議されました。

「非核平和茨城県宣言」に関する決議
核兵器を廃絶し、戦争のない平和な世界を実現することは、茨城県民すべての願いであり、人類共通の悲願である。
わが国は、世界唯一の被爆国として、平和を希求する国民世論の同意のもと、非核三原則を国是として、世界の恒久平和の実現を目指している。
しかしながら、地球上には今なお多くの核兵器が存在し、人類に大きな脅威を与え続けている。
また、民族・宗教・経済的利害の対立などにより、世界各地で武力行使が行われるとともに、新たな核兵器の拡散の懸念が生じている。
このような状況の中、今般、国連安全保障理事会の首脳会合において、核兵器のない世界を目指す決議が採択されたことは、今後の核廃絶に向けた貴重な第一歩となる歴史的な出来事であった。
私たちは、広島・長崎の悲劇を再び繰り返さないために、世界に対し、核兵器の廃絶と軍縮、生命の尊厳と世界の平和を強く訴え続けていかなければならない。
茨城県議会は、県民とともに、全人類の幸福と世界の恒久平和の実現を目指すため、核兵器の一日も早い廃絶を願い、ここに「非核平和茨城県宣言」を行う。
以上、決議する。
平成21年12月9日
茨城県議会
つくばのブナ林筑波山の生物多様性の保全と再生
(平成19年第3回定例会一般質問)
 田村けい子議員は、一貫して筑波山の環境保護、特に生物多様性保全とその再生を訴えました。
 導入が検討されている森林・湖沼環境税にきましては、その使途について、森林保全と霞ヶ浦水質保全にあわせ、環境保全意欲の増進のための拠点として里山を位置づけ、里山の保全及び環境教育推進のためにも使用すべきです。
 この提案をもとに「筑波山におけるブナ・イヌブナの毎木調査」(2008年5月から2010年11月)が実施されました。

茨城県生物多様性センター設置
(平成24年第3回定例会代表質問)
 田村けい子県議は、生物多様性保全と生態系の持続可能な利用に関する各種施策の推進拠点の必要性を強調し、平成24年第3回定例会で「茨城県生物多様性センター」の設置を提唱しました。
 持続可能性を考えたとき、気侯変動が自然環境に及ぼす影響を踏まえつつ、生物多様性の保全と再生を急がなければなりません。そのためには、生物多様性の調査・研究並びに資料の収集、保全の施策づくり、農林水産業、公共事業など、あらゆる施策を生物多様性の視点から企画立案することが望まれます。また、そのための多様な主体との連携が不可欠です。県において、まずは生物多様性地域戦略の策定が望まれますが、戦略の具体的な推進のために、拠点となる生物多様性センターの設置を提案します。
 この質問から3年を経て、平成27年4月1日に「茨城県生物多様性センター」が設置されました。

発達障害者支援センター・カラーズつくばを視察
県南地域に発達障害者支援センターを設置
(平成29年第3回定例会代表質問)
 田村けい子議員は、発達障害者の支援について、度々議会質問で取り上げてきました。大井川和彦知事の就任直後の平成29年第3回定例県議会では、県南地域に相談窓口の設置を要望しました。
 我が県のセンターは、相談支援中心に運営されていますが、当事者が身近な場所で支援が受けられるよう、人材育成を急ぎ、発達障がい者の自立につながる支援システムの構築が望まれます。特に、県南地域の資源の不足は深刻な状況であり、支援体制の強化は待ったなしの課題です。県南地域に発達障害者支援センターを設置するとともに、支援システムの構築を目指すべきと考えます。
 この提案を受けて、県は平成30年1月に、「発達障害者支援センター・カラーズつくば」が、つくば市高崎地内にオープンさせました。

筑波山地域ジオパークの設立を提案・支援体制を整備
(平成21年第3回定例会県議会一般質問)
 ジオパークとは、地質など地球活動の象徴的な遺産を主な見どころとする自然の中の公園で、鉱物や地層などの地質資源を保護するとともに、教育や地域振興に役立てることを目指しています。
 つくば市、石岡市、笠間市、桜川市、土浦市、かすみがうら市の6市からなる筑波山地域は、2016年9月、「筑波山地域ジオパーク」として日本ジオパークに認定されました。
 筑波山地域ジオパークについて、田村けい子議員は、平成21年第3回定例会県議会で筑波山地域の申請を当時の橋本昌知事に提案しました。
 日本地質百選に選ばれている筑波山は、豊かな自然とともに、ほかにない歴史的文化を持っています。霞ヶ浦を含めて一体的にジオパークの認定を目指し、世界規模の観光開発を目指すべきと考えます。茨城空港の開港により、東南アジアを初めとする世界からの誘客促進にも効果的です。筑波山の魅力を世界に向かって発信するための切り口として、ジオパークは最適であると考えます。まずは、県が主導する形で、関係市町村、自然保護活動に取り組むNPO、商工会、自治会などから成るジオパーク推進協議会を設置し、ジオパーク設立に向けてスタートすべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 この質問の後、3回にわたって筑波山ジオパークについて、県の対応を質し、ジオパーク推進を支援しました。
  • 筑波山ジオパークの認定に向けての取り組み(平成25年第1回定例会県議会)
  • 筑波山地域ジオパークの支援強化(平成26年第3回定例会県議会)
  • ジオパークの推進体制の強化と活用(平成29年第1回定例会県議会)