取手市双葉地区
 11月29日、取手市は、6月初めの大雨による浸水被害(令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号による災害)の検証結果を、市議会全員協議会に報告しました。
 深刻な被害があった取手市双葉地区に対して、取手市は、避難判断基準の見直しに加え、浸水検知センサーや大型水のう、可搬式排水ポンプを導入するとともに、排水路の堤防かさ上げを優先的に行っていくとしました。
 取手市は、水災害リスクを専門とする大学教授や国土技術政策総合研究所の意見を踏まえ、減災に向けた取り組みを示しました。
 12月補正予算として、勘兵ヱ堀排水路の嵩上げ工事、大型水のう2本の新規導入、可搬式排水ポンプ2台を増備し計8台とする予算を議会に提案しました。排水路の嵩上げに関しては、双葉地区北側の排水路からの浸入が大きかったことから、排水路の堤防かさ上げを最優先に取り組むことにします。今年度は約200メートルを対象に工事します。数年かけて延長し、堤防を30〜70cm嵩上げしていく計画です。
 このほか、県が設置したAIを活用した水位監視カメラに加え、市独自で地区内5カ所に浸水検知センサーも設置します。
 二つの排水機場の改修については、さらに県と協議していくと議会に報告しました。
取手市双葉地区
取手市の2023年12月補正の概要(水害対策:総額1645万7000千円)

6月に発生した集中豪雨における対応や、今後の災害対策に関する検討を踏まえ、早期に着手が可能なものについて、必要な事業費を計上する。
●排水ポンプ購入82万5000円
浸水・道路冠水の防止及び早期復旧用の排水ポンプを購入する。
●勘兵ヱ堀排水路整備工事負担金1000万円
双葉地区北側の排水路のかさ上げにより越水を防止する。実際の工事は、排水路を管理する福岡堰土地改良区が、今年度より複数年に分けて実施する予定で、事業費は県と市が1/2ずつ負担する。
●浸水検知システム構築業務委託料209万円
浸水・道路冠水の状況をリアルタイムで把握し早期の対応につなげるため、双葉地区の5か所に浸水検知センサーを設置する。
●水害対応用備品の購入354万2000円
水害対応時に使用する、浸水防止用のタイガーダム(大型の水嚢)や、消防職員が水難救助時に活用する備品を購入する。

令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号による災害の検証結果報告

1.浸水被害の原因と被害の概要

【浸水被害の原因】
○降り始めからの雨量が、6月1か月間の平均雨量(つくば市)の2倍近くが2日間で降り、また、1時間最大30ミリを超える時間帯が3回発生したことで、排水能力を超える大雨が短時間で降ったことにより、特に双葉地区においては、排水機場に接続する排水路や上流に位置する周囲の水田から溢れた水が、地区内の低地などに流れ込むことで、多くの建物浸水被害が急激に発生したものと推測される。

【被害の概要】
○6月3日(土)午前2時43分、双葉住民から床上浸水発生の通報を受けた消防は垂直避難を呼びかけ、排水作業を実施(後に排水対策課も排水作業を実施)。その後、救助活動を開始したが、災害対策本部として、双葉地区の広い範囲にわたる被害状況を把握したのは、夜が明け辺りが明るくなってからであった。
○双葉地区において実施した現地被害認定調査において、床上判定は324件、床下判定は240件に上った。また、双葉地区以外においても床上判定が2件、床下判定が10件となった。(令和5年11月28日現在)
○罹災証明発行状況は、令和5年11月28日現在、中規模半壊29件、半壊276件、一部損壊123件(うち、床下浸水は112件、その他11件は双葉地区以外の浸水以外の一部損壊)、無被害15件となっている。

2.有識者の意見等

○東京大学生産技術研究所芳村圭教授
(1)浸水の原因について
・市から示された浸水原因の考え方で問題ない。
(2)双葉地区における新たな避難判断基準の必要性について
・双葉地区の特性に合わせた避難に対する発令基準が必要と考える。基準については、双葉地区の発令基準として市が考える発令基準で問題ない。
・消防署と災害対策本部との連絡体制の強化、情報共有が必要ではないか。
(3)浸水被害減災に向けて効果的な取り組みについて
・双葉地区周辺の排水路や田からの水の浸入を防ぐことが必要であることから、勘兵ヱ堀排水路、大夫落排水路の嵩上げは重要である。
・地区内の道路冠水発生状況を早い段階で情報を得ることができれば、迅速な交通規制を行うことが可能となることから、水位を観測できるセンサーの設置は効果的である。この場合の水位の高さとして、道路からの高さは10僂硲横悪僂婆簑蠅覆ぁ
・道路冠水の水位の上昇を観測することで、避難判断の参考とすることができる。

○国土技術政策総合研究所(国総研)河川研究部河川研究室瀬室長ほか
(1)浸水の原因について
・市から示された浸水原因の考え方で問題ない。
・そのほかの原因として、住宅地の地盤沈下も原因として考えられる。
(2)浸水被害減災に向けて効果的な取組について
・双葉地区を流れる農業用排水路、「勘兵ヱ堀排水路」、「大夫落排水路」からの越流を防ぐため、排水路の嵩上げが現実的な対策であると考える。
・理想としては、住宅地全域を擁壁等で囲うことができれば、周りから住宅地への流入による浸水を物理的に防ぐことが可能と思われる。

3.今後の対策、取組について

(1)内水氾濫による新たな避難判断基準について
・適切なタイミングでの避難情報の発令→大雨警報が発表され、引き続き長時間(概ね6時間)にわたり降雨が予測される場合に高齢者等避難を発令する。
土砂災害警戒情報が発表された場合に避難指示を発令する。
・防災無線の活用による情報発信
→夜間や既に床下浸水等が発生しているなど、水平避難が危険な場合は垂直避難(建物2階など、今いる場所で浸水の来ない高い場所へ避難すること)を呼びかけるなど、適切な避難方法の周知を行う。

(2)消防と災害対策本部の連絡体制
・連絡体制の再確認
・情報共有の徹底

(3)気象台との連絡体制
・更なる連絡体制の強化
・早期注意情報(高)が発表された場合の情報共有
・気象台長から市長へのホットラインによる状況報告と同時に、災害対策本部にも連絡するルートの確立

(4)浸水被害減災に向けての取組
・田からの水の浸入を防ぐ土のうの積み上げや水嚢の設置を実施する。
・双葉地区内の久賀小通りや中央通りなど冠水発生実績をもとに、5箇所に浸水検知センサーを設置し、早期に道路冠水発生を把握することで迅速な交通規制などの安全対策を行う。また、市から避難を呼びかける際に、避難判断の参考として活用する。
・水路に水位センサーを設置し、水位上昇による避難判断の参考とする。但し、用水時期は高水位状態にあるため、水位感知位置の判断が困難と思われる。→茨城県がAIを備えた監視カメラを11月末まで排水路に設置。(通常より水位が10僂硲横悪兢緇困靴榛櫃裡臆鹹銘里届くもの)。その設置効果の検証を踏まえ、その後の対応を県と市で検討する。
・浸水等の被害発生状況により、国土交通省へ、災害時における大夫落排水樋管及び古八間排水樋管への排水ポンプ車配置を要請する。
・床上床下浸水や道路冠水の未然防止及び早期復旧のための可搬式排水ポンプ2台を新たに購入する。(12月中に納品予定)
・北側の勘兵ヱ堀排水路、南側の大夫落排水路のかさ上げ、改修等について管理者である福岡堰土地改良区と県南農林事務所と協議し、勘兵ヱ堀排水路のかさ上げについて、昨年度に引き続き、今年度中に最優先に取り組む。今年度、高さ30〜70cm、長さ約200mの工事を実施。
今後も福岡堰土地改良区、県南農林事務所と引き続き協議のうえ、複数年に分けて実施する予定で取り組んでいく。
・新川第一、第二排水機場については、農業用排水対策、双葉地区の内水対策を踏まえながら、施設改修(排水能力のアップ)や非常用電源施設の設置について、県と協議し検討していく。

4.現在の双葉地区の復旧・復興状況について

(1)住宅の応急修理状況
6月2日付けで、災害救助法が適用され、ここから6ヶ月の間に修理を終えたものが、災害救助法に基づく住宅の応急修理の補助対象となる。このため、修理の完了期限は12月1日となる。
11月25日現在での申請受付件数は、139件。
このうち、既に修理を完了し、修理業者に修理費を支払った件数は、111件。
・中規模半壊(上限706,000円)
申請件数14件(申請額:8,150,858円)
支払い済み件数12件(支払額:6,907,398円)
・半壊(上限706,000円)
申請件数125件(申請額:63,075,305円)
支払い済み件数99件(支払額:47,687,324円)

(2)災害見舞金、被災者生活再建支援補助金等の支給状況(令和5年11月24日現在)
・取手市災害見舞金は、支給件数224件(支給額:6,920,000円)
・取手市被災者生活再建支援補助金は、支給件数199件(支給額:36,300,000円)
・災害援護資金貸付金は、貸し付け件数4件(貸付額:5,700,000円)
・茨城県災害見舞金は、支給件数2件(支給額:60,000円)
・被災者生活再建支援金(国制度)支給件数19件(支給額:9,000,000円)

(3)被災者への義援金の配分
令和5年12月に、茨城県にて配分委員会が開催され、配分委員会結果(単価等)通知が発出される予定。これを受け、令和6年1月から、被災者へ申請書を送付し、申請受付を行い、送金する予定。

(4)つつみ幼稚園の復旧状況
被災した施設や園庭の復旧にあたり子ども家庭庁が実施する児童福祉施設等災害復旧費国庫補助金の申請中。
工事内容としては、次の3種、総額約1億円の予定
〇楡濂修:浸水した床や壁の貼り替え等修繕
外構改修:浸水した園庭表層の入替えやゴムチップ修繕
設備改修:浸水して使用出来なくなったエアコンや備品の購入
補助金の割合は、認定こども園の場合「保育園部分」と「幼稚園部分」で補助率が変わり、「保育園部分」は補助率4分の3、「幼稚園部分」は補助率2分の1となる(共有部分は人数按分にて算出)。
11月16日に国より現地査定が入り、現在補助額の精査中である。災害保険金などを控除した後に補助額が決定される。

(5)つつみ幼稚園の通園状況
現在も復旧工事が続いているが、先行して受入体制を整えたことにより、10月1日には他の園に通っていた児童は戻っており、全員がそろってつつみ幼稚園に通っている。