石川県は輪島市と珠洲市で、1月12日から仮設住宅を着工することを公表しました。
 仮設住宅について、石川県はこれまでに、12日から輪島市と珠洲市で合わせて115戸を、1月15日からは能登町と穴水町で合わせて60戸を着工する計画を示していました。10日午後に開かれた石川県の災害対策本部会議で馳知事は、このうち、輪島市や珠洲市の仮設住宅について、以下のように具体的な建設場所と、建設戸数を発表しました。
 このうち、輪島市内の20戸と珠洲市内の40戸、合計60戸が移動式木造住宅「ムービングハウス」を活用することになりました。
1月12日着工の建設型仮設住宅
輪島市
農村ふれあい広場(輪島市西脇町60):30戸(プレハブ)
キリコ会館多目的広場(輪島市マリンタウン6−1):20戸(ムービングハウス)
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珠洲市
みさき小学校グラウンド(珠洲市三崎町粟津ロ部宇治114):25戸(プレハブ)
正院小学校グラウンド(珠洲市正院町川尻 1部39):40戸(ムービングハウス)
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 災害に遭った人が生活を再建するために欠かせない仮設住宅。その中でも今、注目を集めているのが移動可能な「モバイル型仮設住宅」です。平時は別の用途で活用し、災害が発生すると、移動できる特長を生かして被災地へ急行する。こうした日常と災害時の二つの局面(フェーズ)を分けず、両方で役立てる「フェーズフリー」の考え方を促す、新たな仮設住宅に注目が集まっています。
 一般社団法人地方創生戦略研究所はこの動向にいち早く着目し、その普及と国、自治体との連携を図っています。

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 初めてモバイル型住宅が災害救助法に基づく仮設住宅として採用されたのは、2018年7月の西日本豪雨の被災地です。大規模浸水に見舞われた岡山・倉敷市に、モバイル型住宅の草分けである「ムービングハウス」が41棟設置されました。
 一般社団法人「日本ムービングハウス協会」が普及をめざすムービングハウスは、国際規格の海上輸送コンテナと同じ形、サイズ(長さ12メートル×幅2.5メートル、広さ約29平方メートル)に統一されています。ムービングハウスは、高い移動性により「超短工期を実現」しています。
 従来のプレハブ仮設住宅に比べて、保温性、防湿性、遮音性など居住性能が極めて高いのが特徴です。プレハブ仮設住宅は役目を終えると取り壊されますが、ムービングハウスは再利用できて経済的です。西本豪雨以降も、全国で7箇所の施設で採用されました。
 今回の能登半島地震に関しては、被害の大きさや寒さ、風雪などの自然の厳しさ、未だに地震が続発していることなど、あらゆる観点からムービングハウスの仮設住宅が性能的に優れています。協会では、200棟近くのムービングハウスは即応可能だとして、早期の建設着工を国や県、市町村に働きかけています。

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