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 2月14日付けの茨城新聞の読者投稿欄に、18歳の女子高校生の「必要な生理休暇 浸透しない社会」という投稿が載っていました。以下引用させていただきます。
必要な生理休暇 浸透しない社会
▲高校1年の時から、生理痛が急に重くなった。鎮痛剤を飲んでも頭痛や腰痛はなかなか治まってくれない。つらい、しんどい、体が重い。本当ならば、横になって休みたい。しかし、いつものように登校し、授業を受けなければならない。▲1ヵ月に1日は必ず、このような症状の中でも、何とか普段と変わらない(ように映る)生活を送っている。年間に2〜3回でも生理休暇を取れれば。何度もそう思った。企業では現在、生理休暇を採用するところが増えつつある。それでも、まだまだマイナーで、学校で採用されているところも多くない。私か通う学校でも生理休暇は適用されない。▲生理休暇は法で定められているにもかかわらず、なぜ浸透していないのか。ノルマを果たさねばならないプレッシャー、薬を飲めばわずかながら和らぐという理由での我慢。つらい状況でも、これらを優先せざるを得ない社会とはいかがなものか。

 近年、女性の権利意識の高まりとともに、高等学校における生理休暇導入の是非が活発に議論されているようです。学校への生理休暇導入について、賛成の立場と反対の立場から意見を整理してみたいと思います。
学校での生理休暇導入に賛成の立場
学習環境の改善
 生理による体調不良は、集中力や意欲の低下、頭痛や腹痛などの身体的苦痛を伴い、学習への支障となります。生理休暇の導入は、生徒が体調を整え、最適な学習環境で教育を受ける権利を保障し、学習効果の向上にも繋がる可能性があります。先の投稿者のように、整理痛がひどい生徒は、授業中に痛みで集中できず、眠気や吐き気などの症状に苦しむことがあります。生理休暇を取得することで、生徒は自宅で休息を取り、体調を整えることができます。
健康管理の促進
 生理痛やPMS(生理前に起こる心やからだの不調を指します。月経前症候群)による身体的・精神的な負担は、長期的に見ると生徒の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。生理休暇は、生徒が自身の健康状態を把握し、適切なセルフケアを行うための機会を提供します。生理痛がひどい生徒は、無理をして学校に行くと、体調悪化や貧血などのリスクが高まります。生理休暇を取得することで、生徒は十分な休息を取り、栄養バランスの良い食事を摂るなど、体調管理に努めることができます。
性の健康教育の充実
 生理休暇の導入は、生理に関する正しい知識や理解を促進し、生徒の性の健康教育の充実にもつながります。生理休暇に関する説明会や講演会を開催することで、生徒は生理に関する正しい知識を身につけることができます。また、教職員が生理に関する理解を深めることで、生徒への適切なサポートが可能になります。

学校での生理休暇導入に反対の立場
教育機会の不平等
 生理休暇の取得が、授業やテスト等の学習機会の不平等を生み出す可能性があります。生理休暇を頻繁に取得する生徒は、授業内容やテスト範囲を十分に学習できず、学力低下に繋がる可能性があります。
制度の乱用
 生理休暇制度を悪用する生徒が現れる可能性も否定できません。生理痛が軽い生徒が、不正に生理休暇を取得して、遊びやアルバイトなどに時間を費やす可能性があります。
教職員の負担増加
 生理休暇の運用は、教職員の事務処理や授業進度の調整等、新たな負担を伴う可能性があります。生理休暇の申請・承認の手続きや、欠席した生徒への学習フォローアップは、教職員にとって過大な負担となる可能性があります。

学校での生理休暇を導入する場合の課題と解決策
明確な基準の設定
 生理休暇取得の明確な基準を設定することが必要になります。基準の明確化によって、制度の乱用を防ぎ、教育機会の不平等を解消することができます。医師の診断書が必要、月〇回まで取得可能など、客観的な基準を設けることで、制度の公平性を保つことが必要です。
理解促進のための教育プログラム
 生理に関する正しい理解を促進する教育プログラムを実施することで、生徒や教職員の意識改革を促し、制度の円滑な運用を促進することができます。生理に関する講演会やワークショップを開催することで、生理に対する偏見や誤解を解消し、相互理解を深めることができます。
教職員への研修の実施
 教職員への研修を実施することで、生理休暇制度に関する理解を深め、生徒への適切な対応が可能になります。生理休暇制度の概要や運用方法、生徒へのサポート方法に関する研修を実施することで、教職員の対応力向上に繋げることができます。

 生理休暇導入には、学習環境の改善や健康管理の促進等のメリットがある一方、教育機会の不平等や制度の乱用等の懸念事項も存在します。これらのメリットとデメリットを慎重に比較検討し、各学校における実情に則した制度設計が求められます。
 生理休暇は、女性の権利向上だけでなく、学校全体の健康教育や学習環境の改善にも貢献する可能性を秘めています。関係者間の積極的な議論と、適切な制度設計により、生理休暇が生徒の健全な成長を支えるツールとして活用されることを期待します。

 こうした学校における生理休暇に関する議論は、国会でも行われています。
 国会では、昨年(2023年)5月23日の参院厚生労働委員会で、公明党の山本香苗参議院議員がこの学校での「生理休暇」を取り上げました。

学校での生理休暇導入に関する国会での議論
(山本香苗参議院議員)この生理休暇を求める声は、職場のみならず、学校においても上がっております。
日本若者協議会とみんなの生理の皆さんが学生を対象に学校での生理休暇の導入についてアンケートを実施しました。
その結果、9割以上の学生が生理によって学校を休みたいと思ったことがあるにもかかわらず、68%が休むのを我慢している実態が明らかになりました。また、休めなかった理由として一番多かったのが、成績や内申点に悪影響が出ると思ったという回答で、生理によって学校等を休んだ経験のある3人に1人が、欠席扱いにされたことで成績や内申点が下げられたと。また、若干ではあるんですけれども、受験を諦めたり、進学先を変更しなければならなかったという回答もありました。生理になりたくてなっているわけではありませんし、自分の意思ではどうにもできない体調不良のせいで成績や内申点が下がるのは余りにも不公平ではないかと、そういった声も上がっております。
そこで、伊藤政務官にお伺いいたしますけれども、文部科学省はこの調査結果はどう受け止めておられるのでしょうか。また、いわゆる学校における生理休暇の導入ということについて、文部科学省としての御見解、お伺いさせていただきたいと思います。
(伊藤孝江文部科学大臣政務官)お答えいたします。先ほど御紹介いただきました日本若者協議会とみんなの生理合同で実施をされたアンケートにおきまして、9割以上の学生が生理によって学校を休みたいと思ったことがあるにもかかわらず、68%が休むのを我慢している等の結果であったということを承知しております。生理による体調不良等のつらさは私自身も共感のできるところでもあります。
児童生徒が病気又はその他の事故で学校を休んだ場合には、指導要録において欠席日数として記録をすることとしております。その一方、非常変災等児童生徒又は保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席をした場合や、選抜のための学力検査の受検その他教育上特に必要な場合などで校長が出席しなくてもよいと認めた場合は、出席停止、忌引等の日数として記録をすることができます。その中で、一般的に、児童生徒が月経に伴う症状によるものも含め体調不良により学校を休んだ場合、欠席として扱われているものと承知をしております。
ただし、例えば入試などにおいて月経に伴う欠席の日数が影響する、そのようなことがあるならば、それは望ましいものとは考えておりません。今後、どのような対応が適切なのか、関係者の意見を聞きながら検討をしてまいります。
(山本議員)これから検討していただけるということではあるんですが、もう既に、高校入試においては、こうした学生たちの声に応えるような動きが出てきております。令和5年春の入試から、東京都や広島県では、欠席日数は入試には必要ないとして、内申書の欠席日数を書く欄自体を削除しました。こうした取組はもう既に大阪府、奈良県、また神奈川県が実施をしておりますけれども、こうした取組を是非文部科学省としても積極的に推進をしていただきたいと思います。
また、大学入試においては、内申書に出欠の記録が記載されるけれども、健康状況を理由として不合格の判定を行うことについては真に教育上やむを得ない場合に限定していると、高校入試の場合よりは若干、配慮しているような感じもするんですが、欠席が増えることによって大学進学への影響を心配する方がたくさんいらっしゃいます。
是非、大学入試の内申書におきましても、出欠の記録を書く欄自体を、これは国が定めているわけですから、ここは国においてしっかりこの出欠の記録を書く欄自体を削除していただきたいと思いますが、政務官、いかがでしょうか。
(伊藤政務官)まず、高校入試に関しましてですけれども、高等学校入学者選抜の調査書の様式につきましては、選抜の実施者である各教育委員会等が決定するものであり、出欠の記録欄についても、その目的や必要性については各実施者において議論をいただきたいと考えております。
一方で、生理痛等の身体、健康上の理由により、やむを得ず欠席せざるを得ない場合もあること等も踏まえ、そのようなことのみをもって合理的な理由なく選抜で不利に取り扱われることのないよう、各実施者に対して周知をすることを文部科学省において検討をしてまいります。
また、大学入試につきましてですけれども、大学入学者選抜につきましては、毎年、高校、大学関係団体の代表者による大学入学者選抜協議会におきまして協議の上、国が調査書の様式を定めているところです。出欠の記録欄の記載方法も含め、調査書の在り方につきましては、同協議会において、高校、大学関係者と丁寧に議論を重ねながら継続的に検討を行ってまいります。
なお、身体、健康上の理由により合否判定において不利に取り扱うことのないよう求めており、その旨、既に大学には通知をしているところでもあります。
(山本議員)まず、高校入試のことにつきましては、しっかりと、実施者、いわゆる都道府県ですね、に対してこういう形で検討してくださいということのお願いの通知を出していただけるということでよろしいんですねというのが一つと、大学におきましては、今回、事前にお伺いしたところによりますと、こういった形で関係者で話合いをしたことはないと、初めて今回こういう形で議論をしていただけるということで、丁寧に、継続的にという話なんで、丁寧に継続的じゃなくて、もう決めることは早く決めてほしいと思いますので、二点、重ねてお伺いいたします。
(伊藤政務官)まず、高校入試につきましては、文部科学省におきまして、この周知の検討について、来年度の選抜に向けて速やかに行いたいということを考えております。そしてまた、大学入学者選抜の方につきましては、この大学入学者選抜協議会で協議をしていただくという形になりますけれども、今御指摘いただいたところも踏まえてしっかりと対応してまいりたいと考えております。
(山本議員)よろしくお願いしたいと思います。現在、学校には統一した生理に対するガイドラインがありません。特に、体育の授業での生理によるのは(欠席の判断は)先生によってばらばらのために、不満の声がたくさん寄せられています。生理でもプールに参加しなければならない学校もあれば、生理でプールを欠席した際は減点となる学校もあるそうです。生理のことで困っていても学校現場で対応してもらえなかったり、プールを強要されては非常につらいことだと思います。
体育の授業で生理中の生徒はどう参加するのか、保健室で休むことができるのかなど、学校における生理に関するガイドラインを作成してもらいたいといった要望も寄せられております。是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(伊藤政務官)学校におきましては、体調不良等により欠席したり保健室に行ったりするということなどで授業を休んだ児童生徒につきましては、一般的に、他の課題を与えたり個別に補習したりするなどの学習を基に適切に評価を行っております。
具体的には、例えば、プールの授業の場合には、保護者や本人から生理による見学の申出があった際には、見学をさせた上で、その授業の目標や学習内容等を確認させ、目当てや評価などに沿った学習カードやレポートを提出させるなど、児童生徒の状況等に応じた活動を通し、学習の機会を確保するようにしていると承知をしております。ただ他方で、このような対応が行われていないという御指摘もいただいております。文部科学省としましては、こうした取扱いについてしっかりと周知をしてまいります。
(山本議員)周知よりまず実態を把握していただきたいと思いますが、いかがですか。
(伊藤政務官)様々な関係者等からも現状をお聞きしていくということも踏まえて検討してまいりたいということを考えております。
(山本議員)とにかく、生理痛を我慢するのが当たり前という風潮を変えてもらいたいという切実な声が寄せられております。
是非、学校でも職場でもしっかり周知をしていただき、生理痛に対する社会全体の理解が深まる取組をお願いしたいと思いますが、加藤大臣、伊藤政務官、よろしくお願いします。