能登空港敷地内の臨時宿泊施設
 3月2日から石川県能登半島地震の被災地を訪れています。
 1月1日に発生した石川県能登半島地震。1万1000人超の方々が避難生活を送る中、石川県は県内外で2万戸超の応急住宅を確保しています。
 しかし、被災者の地元に建設する仮設住宅の完成数は302戸にとどまり、7000件を超える申し込み数に追い付いていない状況です。
 多くの被災者が、住み慣れた地で仮設住宅に入居したいと望んでおり、既存施設を活用した、みなし仮設や公営住宅への入居率は県内外合わせてそれぞれ23.9%、7.6%と低調です。
 特に被害が甚大な奥能登地域(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)では、人間関係の濃さや高齢化率の高さが地元志向の強さに拍車をかけていると考えられます。高齢者になるほど地元を離れたくない傾向があり、ふるさとに建設する仮設住宅への要望は強いようです。
 仮設住宅の建設には、用地不足、作業員の不足、人件費・資材の高騰、大量の災害廃棄物、半島特有の交通アクセスの悪さなど、多くの課題が立ちはだかっています。
珠洲市の臨時宿泊施設
 特に、交通アクセスの悪さが隘路となって、現場での作業時間が十分に確保できない、作業員の負担が大きいといった課題は、早期に解決しなければなりません。
 被災状況が大きい6市町には、作業員が宿泊できる施設が少なく、金沢など遠方から通わなくてはなりません。
 圧倒的な短期間で仮設住宅を立ち上げた日本ムービングハウス協会の作業員は、自らが持ち込んだ移動式住宅に住み込みながら作業を進めました。

 従来型のプレハブや石川県が進めようとしている木造の仮設住宅の建設には、作業員の宿泊施設の確保が不可欠となります。石川県は、6市町に臨時の宿泊施設の建設を計画しています。
 2月19日、馳知事は「県はおよそ1200人分の宿泊場所を確保しているが、いまだ不足している。今後は中長期の職員の派遣やボランティア活動の本格化で宿泊の需要は増加する」として、被災地に「仮設宿泊所」を整備したいという考えを示しました。
 県や自治体が土地を確保したうえでコンテナハウスなどのプレハブ式の施設を整備し、被災したホテルや旅館の事業者に運営を任せる方向で検討しているとしています。

重要な更新
写真上:のと里山空港の敷地内に建設が進むムービングハウスを活用した支援者用の臨時宿泊施設(4月13日撮影)
写真下:珠洲市内に建設されたトレーラーハウスを利用した支援者用の臨時宿泊施設(4月13日撮影)