トイレやシャワーを備え、発電や浄水もできる「高機能コンテナ」が能登半島地震の被災地で活躍しています。設置も簡単で、さまざまな状況に対応可能なため、国土交通省は道の駅の防災機能強化に向けた導入を促しています。
1月12日に道の駅「あなみず」(石川県穴水町)に設置されたコンテナトイレは、微生物による浄化処理機能と太陽光発電を備えています。一度の給水で1000回以上循環利用できる自己処理型で、穴水町の担当者は「町は珠洲市などがある奥能登への通り道で、トイレ事情改善は急務だった」と、当時を振り返っています。「水洗で個室も広く、利用者から感謝された」といい、穴水町に設置されていた2月20日までに40日弱で7000回以上使用されました。
国交省によると、地震後約2カ月で石川県には民間や自治体からコンテナ44個が送られ、トイレやシャワー、診療所に活用されました。コインランドリーや仮設住宅として使われている事例もあります。
道の駅の防災機能強化を進める国交省は、2021年に条件を満たした駅を「防災道の駅」として39カ所選定。将来的に100カ所ほどに増やしたい考えですが、建物の耐震化や通信・水の確保、駐車場面積といった条件を満たす必要があり、自治体による整備が進まないのが現状です。(茨城県では、道の駅「奥久慈だいご」が防災道の駅に指定されています)
また、コンテナは使い方によって建築物や車両扱いになり、建築基準法や道交法などの規制に対応させる必要がある上、普段の保管場所も課題となっています。そこで国交省は4月、自治体向けにガイドラインを作り、課題や留意点を整理。平時からトイレやシャワー、休憩所として使う事例を紹介しました。穴水町にあったコンテナはもともと、道の駅「うきは」(福岡県うきは市)の増設トイレとして稼働していました。
国交省担当者は「道の駅が防災拠点として重要となる中、能登半島地震で高機能コンテナが非常に有効だということが分かった。ガイドラインを導入に役立ててほしい」と話しています。
なお、高機能コンテナの配備にあたっては、高齢者や障がい者の利用も考慮する必要があります。車輪が付いているコンテナ型のトイレ、シャワ−などは、地面との高低差があるため、被災地では非常に利用しづらいという欠点があります。道の駅「あなみず」に設置された平置きのタイプが推奨されるべきです。
(上の写真は、珠洲市正院小学校で2024年2月6日に撮影しました)