国立環境研究所(環境研)の調査によると、水戸市では他市と比較して1人1年あたりの二酸化炭素排出量が多く、2021年には国内52都市の「消費に伴うCO2排出量ランキング」でワースト1位にランクインしています。
環境研は日常の消費活動を通じて、市民がどれだけCO2を排出しているのかを、主要52都市(=県庁所在地、政令指定都市)別にまとめました。
ワースト1位は水戸市。続いて、福島県福島市、徳島県徳島市、山口県山口市、香川県高松市と、地方の主要都市が排出量ワースト5を占めました。
一方、地方都市に比べて消費支出の多い東京都区部は、52都市中29位でした。
東京都区部はマイカー利用が少なく、住居も狭く核家族が多いため電力消費も地方に比べて少なくなっています。衣類や電気製品などモノの消費、レジャーや食事、宅配などのサービスには多くを費やしているものの、直接的なCO2の排出は抑えられています。
同研究データから、水戸市の平均カーボンフットプリントをみてみると、注目すべきは青い丸が示した移動排出量全体の25%を占め、対象都市で最も多くなっています。
その理由は自家用車の利用が大きな部分を占めているためです。鉄道の利用が進んでいる大都市の東京や大阪に比べて、移動による排出量が二倍以上になっているのです。
この水戸市の車社会が人の移動による温室効果ガスの排出量。これが全国の県庁所在地で最も多い、大きな原因です。
地球温暖化を防ぐためには、家計や個人の生活を見直すことも必要です。いまの私たちに求められるのは、私たちが使う製品やサービスがどのようにつくられ、届けられているのかまで含めて、ライフサイクル全体でCO2排出量をゼロにする発想。個人の工夫や努力だけでなく、自治体、政府、企業など社会全体で脱炭素、CO2排出量を実質ゼロにする選択肢を増やしていく必要があると思います。
その個人のライフスタイルは、どこにどのように生活しているかによって、大きく変化します。自治体毎のまちづくりの中で、こうしたライフスタイルの転換をサポートする必要があります。
例えば、マイカーの使用頻度や移動距離、冷暖房の需要、食生活などは、地域によってまったく異なります。そうした地域ごとの特性やライフスタイルを踏まえて、まちづくりを進めることが重要になります。自動車通勤から自転車通勤に変えることでより健康になれる。住宅の断熱効果を高めることで冬場のヒートショックを防止できる。こうしたことによって、CO2削減のためにアクションを起こすだけでなく、そこに住む人々の新たな豊かさの創造にも繋がります。