
大雨の際、排水が追いつかずに発生する内水氾濫の被害の認定を迅速に行うため、内閣府は被害の程度を浸水の深さで簡易に判定する新たな基準での運用をはじめました。認定にかかる作業を効率化することで被災者の生活再建をより早く行うことができるようになるとしています。
内閣府によると、内水氾濫による住宅などの浸水被害が相次いでいて、2021年には全国でおよそ1万400棟に上っています。
川の氾濫による水流やがれきの衝突などの際には、浸水の深さや外観などから被害の程度を判定できる基準が設けられている一方、内水氾濫は建物の内壁や床などの損傷の割合を調べる必要があり、調査に時間を要するケースがありました。
被害の認定に時間がかかると被災者の生活再建にも影響が及ぶことから、内閣府は内水氾濫についても浸水の深さをもとに被害の程度を判定する新たな基準を設け、5月31日から運用を始めました。
具体的には
▽床上1メートル80センチ以上が「大規模半壊」
▽床上1メートル以上1メートル80センチ未満が「中規模半壊」
▽床上10センチメートル以上1メートル未満が「半壊」
▽床上以上10センチメートル未満が「準半壊」
▽床上未満が「一部損壊」

浸水深は玄関内、掃き出し窓等の浸水痕により測定することが考えられています。
スマートフォン等の撮影画像から算出した浸水深を用いることも可能としています。
また、区域内にある床上1.8m以上浸水したことが一見して明らかな場合、サンプル調査(当該区域の四隅に立地する住家の調査)により、当該区域内の当該住家すべてを「大規模半壊」と判定することができるとしました。また、区域全体をドローンで撮影・3次元化して算出された浸水深により、明らかに床上 1.8m 以上浸水したことが確認できる場合も、当該区域内の当該住家すべてを「大規模半壊」と判定できます。
この新たな基準をもとに判定した場合、例えば秋田県で7000棟を超える建物が浸水した去年7月中旬の大雨では、1か月半ほどかかった被害認定調査が、数週間ほど短縮できるということです。
内閣府は、調査にかかる時間を少しでも短くすることで、被災した人の速やかな生活再建につなげたいとしています。