2024年12月1日から、茨城県では軽症者の救急車利用に対して「選定療養費」の徴収が開始される予定です。この施策は、救急医療の適正な利用を促進し、限られた医療リソースを本当に必要とする人々に届けるための重要な取り組みです。
現在、茨城県内の救急医療現場では、大病院への救急搬送が集中しており、その約半数が軽症患者で占められています。この状況は、救急車が命を守るために最も必要とされる緊急対応に支障をきたす可能性があります。また、救急医療の提供能力が限られている大病院に過度の負担がかかり、結果的に医療全体の質が低下する懸念が生じています。
さらに、4月からは医師の働き方改革が施行され、救急医療体制のさらなる圧迫が予想されています。こうした背景から、救急車を適切に利用し、緊急性が高い患者に対して迅速な医療提供を確保するために、新たな措置が必要とされました。
選定療養費の概要
選定療養費は、もともと大病院への一極集中を防ぎ、地域医療との連携を促進するために導入された制度です。通常、紹介状なしで大病院を受診する場合に徴収されるこの費用は、これまで救急車で搬送された患者には適用されていませんでした。しかし、今回の見直しにより、緊急性が低いと判断された軽症者に対しては、この選定療養費が徴収されることになります。
具体的には、一般病床数200以上の大病院23施設が対象となり、12月1日から運用が開始される予定です。金額は初診時に紹介状なしで受診する際に徴収される費用と同額で、7,700円以上となる見込みです。
この施策の目的は、救急医療を本当に必要とする方々に確実に提供できるようにすることです。したがって、軽症や不要不急の症状での救急車の利用は控え、まずはかかりつけ医や地域の診療所を受診するようお願いいたします。迷った場合は、救急相談ダイヤル(#7119、#8000)をご利用いただき、緊急度の判断をしていただくことが重要です。
例えば、包丁で指を少し切ったり、数日続く風邪の症状で救急車を呼ぶといった事例は、軽症であり、かかりつけ医の診療で十分対応できるものです。こうしたケースでは、救急車を呼ばずに、通常の診療時間内に医療機関を受診することが望まれます。