2024年9月29日、公明党は全国大会を開き、新たな代表に石井啓一衆議院議員を、幹事長に西田実仁参議院議員を選出しました。西田新幹事長は、公明党の2040年の福祉ビジョンの根幹に「ベーシックサービス」を基本として、「創造的福祉社会」創出を目指すことを表明しました。
今後その財源問題などに、どのように切り込んでいくかが最大の課題となります。

■2040ビジョン発表、「創造的福祉社会」へ
公明党は22年12月に「2040ビジョン検討委員会」を立ち上げ、40年を見据えた社会保障のあり方を議論し、このほど中間取りまとめを発表しました。具体的には、40年までを「正念場の15年」と捉え、新たな時代に踏み出すため、これまで築き上げてきた全世代型社会保障を基盤として、「創造的福祉社会」を新たに構築します。
創造的福祉社会とは、少子高齢化・人口減少の時代の諸課題に対処する制度改革だけではなく、「人々のつながりと支え合いを幾重にも創り上げ、全ての人の尊厳を守るとともに、それぞれの自己実現に最適な環境を提供できる社会」を意味します。個別具体的な制度の構築に際しては、ベーシック・サービスの考え方を踏まえて取り組みます。
今後その財源問題などに、どのように切り込んでいくかが最大の課題となります。

■2040ビジョン発表、「創造的福祉社会」へ
公明党は22年12月に「2040ビジョン検討委員会」を立ち上げ、40年を見据えた社会保障のあり方を議論し、このほど中間取りまとめを発表しました。具体的には、40年までを「正念場の15年」と捉え、新たな時代に踏み出すため、これまで築き上げてきた全世代型社会保障を基盤として、「創造的福祉社会」を新たに構築します。
創造的福祉社会とは、少子高齢化・人口減少の時代の諸課題に対処する制度改革だけではなく、「人々のつながりと支え合いを幾重にも創り上げ、全ての人の尊厳を守るとともに、それぞれの自己実現に最適な環境を提供できる社会」を意味します。個別具体的な制度の構築に際しては、ベーシック・サービスの考え方を踏まえて取り組みます。
この創造的福祉社会への道を切り開くため、公明党は五つの改革構想を提唱しました。
一つ目は「教育のための社会・こどもまんなか社会を築く」です。具体的には、わが党が22年11月に策定した「子育て応援トータルプラン」について、30年までの実現に挑み、教育については「公教育の再生」「教育のための社会」をめざします。
二つ目は「単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する」です。日本は既に単身世帯を主軸とする社会に変化していますが、社会保障など各種制度が対応できていません。単身者の孤独感、社会的な孤立を軽減し、他者との関係構築がしやすい環境をつくるとともに、単身者の経済的な安定を図るため、非正規労働者の処遇改善、賃上げなどの施策を拡充します。
三つ目は「若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する」です。鍵となるのは働き方改革であり、「同一労働同一賃金」の実現を通して従来の「正規・非正規」の概念をなくし、格差のない柔軟な働き方を可能にしていきます。
四つ目は「全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる」です。病気予防とともに生活の質を向上させる運動・リハビリの推進や、栄養、睡眠を改善する国民運動を展開します。また、全国各地の医療ニーズを把握した上で必要な医療者を確保しつつ、遠隔医療や訪問医療を組み合わせて、どこの地域でも必要な診療が受けられる総合的な医療プランの策定をめざします。
五つ目は「地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する」です。地域包括ケアシステムの構築は25年をめどに進められていますが、進捗状況に濃淡が生じています。人口急減地域を対象に状況を点検し、自治体の垣根を越えて人材の相互融通や施設の共用などを行う「命を守る広域連携」(仮称)の創設を推進します。
また、外国人材の人権をこれまで以上に擁護しつつ、労働者としてのみならず地域社会の構成員として受け入れ、共に社会を形成していく理念を明記した「外国人との共生社会基本法」(仮称)の制定をめざします。

【ベーシックサービスについて】
慶應義塾大学経済学部の井手英策教授が提唱する「ベーシックサービス」は、現代社会の経済的不安を解消するための新しい福祉政策の概念として注目されています。このベーシックサービスは、生活に不可欠な基本的な公共サービスを無料で提供し、全ての国民が安定した生活を送れるようにすることを目的としています。これには医療、教育、保育、住宅など、生活に必要なさまざまなサービスが含まれます。
ベーシックサービスのメリット
1.経済的不安の解消
ベーシックサービスの最大の利点は、経済的不安を大幅に軽減できることです。現代社会では、特に低所得者層や若者の間で、生活費や将来に対する不安が高まっています。例えば、医療や教育の費用は年々上昇しており、多くの人が必要なサービスを利用できない状況にあります。しかし、これらのサービスが無料で提供されることで、生活コストが大幅に削減され、経済的に不安定な層でも基本的な生活を維持することが可能になります。
2.所得格差の是正
井手教授は、ベーシックサービスが所得格差を是正する手段としても有効だと考えています。所得が低くても、誰もが同じ質のサービスを受けることができるため、富裕層と貧困層の間の格差が縮まります。特に、教育や保育、医療といった分野では、質の高いサービスが無料で提供されることで、社会的な平等が実現されるとされています。
3.社会的な連帯感の強化
全ての国民が平等にサービスを受けられることで、社会全体の連帯感が強化されるとされています。これにより、社会的な分断が解消され、共に支え合う社会が形成されることが期待されています。人々が自らの生活を安心して送れる環境が整うことで、より積極的な社会参加やコミュニティの形成が進む可能性も高まります。
ベーシックサービスの課題
1.財政確保
ベーシックサービスの最大の課題は、その財源確保です。医療、教育、住宅といった基本サービスを全ての国民に無料で提供するには、膨大な予算が必要です。特に日本のように少子高齢化が進む社会では、税収が減少する一方で、高齢者向けの医療や介護のコストが増加するため、財政負担がさらに重くなります。これに対して、どのように財源を確保し、持続可能な制度を構築するかが重要な課題となります。
2.政府の介入拡大による効率性の低下
公共サービスを無料で提供するということは、政府がサービス提供に深く関与することを意味します。そのため、サービスの質や効率性が低下する可能性があります。民間企業が提供するサービスに比べ、政府の管理下にあるサービスは、競争が少なく、イノベーションが停滞するリスクがあります。また、官僚主義的な手続きや無駄な支出が生じやすくなる点も、デメリットとして指摘されています。
3.自主性の低下
無料のサービスが提供されることで、個人の責任感や自主性が低下する可能性もあります。例えば、無料で医療や住宅が提供されることで、個人が自己責任で健康管理を行ったり、経済的に計画を立てる動機が薄れてしまうという懸念があります。ベーシックサービスによって得られる安心感が、結果的に個々の成長や努力を抑制する可能性も指摘されています。
井手英策教授が提唱するベーシックサービスは、社会的平等の促進や経済的不安の解消という点で大きな可能性を秘めた政策です。しかし、実現には財政負担や政府の効率性低下といった課題も存在します。今後、このアイデアがどのように議論され、実際の政策として具体化されるかが注目されるポイントです。社会全体での合意形成や財源の確保が重要なカギとなるでしょう。
ベーシックサービスの導入が、より公正で持続可能な社会を実現するための一歩となるか、一層の創造的議論が必要です。
一つ目は「教育のための社会・こどもまんなか社会を築く」です。具体的には、わが党が22年11月に策定した「子育て応援トータルプラン」について、30年までの実現に挑み、教育については「公教育の再生」「教育のための社会」をめざします。
二つ目は「単身者が生きがいを持って人生を全うできる社会を実現する」です。日本は既に単身世帯を主軸とする社会に変化していますが、社会保障など各種制度が対応できていません。単身者の孤独感、社会的な孤立を軽減し、他者との関係構築がしやすい環境をつくるとともに、単身者の経済的な安定を図るため、非正規労働者の処遇改善、賃上げなどの施策を拡充します。
三つ目は「若者、高齢者、女性、障がい者 全ての人が輝ける社会を確立する」です。鍵となるのは働き方改革であり、「同一労働同一賃金」の実現を通して従来の「正規・非正規」の概念をなくし、格差のない柔軟な働き方を可能にしていきます。
四つ目は「全国どこでも命と健康が守られる社会をつくる」です。病気予防とともに生活の質を向上させる運動・リハビリの推進や、栄養、睡眠を改善する国民運動を展開します。また、全国各地の医療ニーズを把握した上で必要な医療者を確保しつつ、遠隔医療や訪問医療を組み合わせて、どこの地域でも必要な診療が受けられる総合的な医療プランの策定をめざします。
五つ目は「地域のつながり・支え合いで人口減少を克服する社会を構築する」です。地域包括ケアシステムの構築は25年をめどに進められていますが、進捗状況に濃淡が生じています。人口急減地域を対象に状況を点検し、自治体の垣根を越えて人材の相互融通や施設の共用などを行う「命を守る広域連携」(仮称)の創設を推進します。
また、外国人材の人権をこれまで以上に擁護しつつ、労働者としてのみならず地域社会の構成員として受け入れ、共に社会を形成していく理念を明記した「外国人との共生社会基本法」(仮称)の制定をめざします。

【ベーシックサービスについて】
慶應義塾大学経済学部の井手英策教授が提唱する「ベーシックサービス」は、現代社会の経済的不安を解消するための新しい福祉政策の概念として注目されています。このベーシックサービスは、生活に不可欠な基本的な公共サービスを無料で提供し、全ての国民が安定した生活を送れるようにすることを目的としています。これには医療、教育、保育、住宅など、生活に必要なさまざまなサービスが含まれます。
ベーシックサービスのメリット
1.経済的不安の解消
ベーシックサービスの最大の利点は、経済的不安を大幅に軽減できることです。現代社会では、特に低所得者層や若者の間で、生活費や将来に対する不安が高まっています。例えば、医療や教育の費用は年々上昇しており、多くの人が必要なサービスを利用できない状況にあります。しかし、これらのサービスが無料で提供されることで、生活コストが大幅に削減され、経済的に不安定な層でも基本的な生活を維持することが可能になります。
2.所得格差の是正
井手教授は、ベーシックサービスが所得格差を是正する手段としても有効だと考えています。所得が低くても、誰もが同じ質のサービスを受けることができるため、富裕層と貧困層の間の格差が縮まります。特に、教育や保育、医療といった分野では、質の高いサービスが無料で提供されることで、社会的な平等が実現されるとされています。
3.社会的な連帯感の強化
全ての国民が平等にサービスを受けられることで、社会全体の連帯感が強化されるとされています。これにより、社会的な分断が解消され、共に支え合う社会が形成されることが期待されています。人々が自らの生活を安心して送れる環境が整うことで、より積極的な社会参加やコミュニティの形成が進む可能性も高まります。
ベーシックサービスの課題
1.財政確保
ベーシックサービスの最大の課題は、その財源確保です。医療、教育、住宅といった基本サービスを全ての国民に無料で提供するには、膨大な予算が必要です。特に日本のように少子高齢化が進む社会では、税収が減少する一方で、高齢者向けの医療や介護のコストが増加するため、財政負担がさらに重くなります。これに対して、どのように財源を確保し、持続可能な制度を構築するかが重要な課題となります。
2.政府の介入拡大による効率性の低下
公共サービスを無料で提供するということは、政府がサービス提供に深く関与することを意味します。そのため、サービスの質や効率性が低下する可能性があります。民間企業が提供するサービスに比べ、政府の管理下にあるサービスは、競争が少なく、イノベーションが停滞するリスクがあります。また、官僚主義的な手続きや無駄な支出が生じやすくなる点も、デメリットとして指摘されています。
3.自主性の低下
無料のサービスが提供されることで、個人の責任感や自主性が低下する可能性もあります。例えば、無料で医療や住宅が提供されることで、個人が自己責任で健康管理を行ったり、経済的に計画を立てる動機が薄れてしまうという懸念があります。ベーシックサービスによって得られる安心感が、結果的に個々の成長や努力を抑制する可能性も指摘されています。
井手英策教授が提唱するベーシックサービスは、社会的平等の促進や経済的不安の解消という点で大きな可能性を秘めた政策です。しかし、実現には財政負担や政府の効率性低下といった課題も存在します。今後、このアイデアがどのように議論され、実際の政策として具体化されるかが注目されるポイントです。社会全体での合意形成や財源の確保が重要なカギとなるでしょう。
ベーシックサービスの導入が、より公正で持続可能な社会を実現するための一歩となるか、一層の創造的議論が必要です。