11月9日、NPO法人いばらきTU・NA・GUジオ主催の講演会「天心が愛した五浦の自然」が、天心記念五浦美術館講堂で開催されました。
講師は茨城大学名誉教授の安藤寿男先生。NHKのブラタモリにも、解説者として出演した経歴があります。
北茨城市五浦海岸には奇岩奇礁が広がり、近代日本美術の発展に多大な功績を残した岡倉天心の旧宅や庭園があることから、国の登録記念物(名勝地・遺跡関係)に指定されています。安藤先生の講演では、この五浦海岸から発見された古代の巨大ザメの歯の解説も詳しく語られました。
2006年4月、北茨城市五浦海岸で世界最大級で最古のムカシオオホホジロザメ(カルカロドン・メガロドン)の化石が発見されました。
5月18、19日の両日、北茨城市五浦海岸の新生代中新世(約1640万年前)の地層でムカシオオホホジロザメ(カルカロドン・メガロドン)の化石の発掘調査を実施。このムカシオオホホジロサメは、今から200万年くらい前に絶滅した、体長10を超える巨大ザメで、暖かな海でクジラなどを食べていたとされています。
2日間の調査によりムカシオオホホジロザメの歯15個と脊椎骨2個,メジロザメ類の歯4個と脊椎骨2個を採取されました。
今回発見されたムカシオオホホジロザメの化石は、歯と脊椎骨が狭い範囲に集中して発見されたことから、同一個体のものであると考えられます。このような同一個体のものと考えられる多数のムカシオオホホジロザメ化石の産出は、群馬県安中市(約1400万年前)、埼玉県深谷市の荒川河床(約1260万年前)に続く3例目です。
五浦海岸の化石は約1640万年前の地層から発見されたことから、一個体分の化石では最も古く、ホホジロザメ類の進化を考えるうえで貴重な発見です。
これらの化石は、現在(2024年11月)茨城県自然博物館で常設展示されています。