仮設住宅6882戸を建設
ムービングハウスやトレーラーハウスなど移動式住宅
最短は発災後1ヶ月で入居、居住性や経済性で高い評価
石川県が能登半島地震の被災者向けに整備してきた仮設住宅が12月23日までに、全て完成しました。当初は8月中の整備完了を予定していましたが、各地で追加の整備要望が出たことや9月の記録的豪雨などの影響で4カ月遅れました。珠洲市でこの日24戸が完成し、10市町計6882戸の整備を終了。地震発生から1年を前に、被災地は生活再建に向けた新たな段階に入りました。
豪雨で自宅を失うなどした住民向けの仮設住宅は、輪島市と珠洲市で計286戸を建設中。石川県は2025年3月の整備完了を目指しています。
こうした仮設住宅の内、木造移動式住宅(ムービングハウス)やトレーラーハウスなど“移動式住宅”は、531戸建設されました。発災から最短1ヶ月で入居可能になるなど、迅速な建設や居住性の高さで高い評価を得ています。また、使用期間中のリース契約が基本のため、建築や解体・撤去に関わる費用がプレハブ住宅などに比べて低く抑えられています。
様々な特長がある“移動式住宅”ですが、大規模災害時に有効に活用するためには、早急に解決すべき大きな課題があります。それは、大規模災害時に必要な仮設住宅の数を十分に確保するということです。災害が発生してから住宅を建設していては、被災者のニーズに応えられません。今回の能登半島の被災対応に建設された仮設住宅は6800戸余りです。それに対して移動式住宅は531戸で、全体の1割にも満たない状況です。事業者と協力して、当面は千戸単位での備蓄が必要となります。
この備蓄に関しては、単に完成した移動式住宅を保管するだけでは非効率的です。自治体や企業の遊休地などにムービングハウスを設置し、平常時は宿泊研修施設や体験交流施設、キャンプ場などのレジャー施設、コミュニティの交流施設として使用します。災害発生時にはすぐに被災地に輸送し、災害救助法に基づく応急仮設住宅として被災自治体に有償で貸し出しするような体制づくりが必要です。
さらに、2年から3年の仮設住宅としての使用を終了した後も、備蓄のサイクルにのせて活用していく必要があります。
こうした平常時と災害発生時のフェーズフリーの運用システム作りに、国は取り組まなければなりません。