光ファイバー網と無線によるブロードバンドネットワークを市内全世帯に整備
 7月30日、井手よしひろ県議は県企画部情報政策課職員らと共に、福島県原町市を訪ねました。
 原町市では、2003年7月に運用を始めた独自のインターネット接続サービス「あっと!はらまち(市民アクセス網)」が稼働しています。NTTやヤフーなどの民間事業者が、サービスを提供できない市周辺部も含め、比較的低料金(月額5250円・プロバイダー料金含む)でブロードバンド接続(最高で毎秒40Mbps)が可能となっています。
 原町市とNTT東日本担当者より説明を受けた後、実際に市内各所を視察し、無線によるブロードバンド接続の実際を体験しました。
(FWA:Fixed Wireless Accessの略で、「加入者系無線アクセス」といわれ、広帯域の電波を使用したアクセス回線です。原町市では、全国で初めて24GHz帯の無線によるアクセスを実現しました)
<リンク>福島県原町市のHP
<リンク>あっと!はらまち(市民アクセス網)のHP

 説明にあたった原町市情報政策室の木村浩之班長は、「相双地方は高速道路がないなど、他地域に比べてインフラ整備で遅れている。地域を発展させる基盤作りで、日本で最初の取り組みに挑戦した」と話してくれました。
 市民アクセス網は、地域イントラネット整備事業で整備された市内24の公共施設を結ぶ光ファイバー網を活用して、26GHz帯の無線アクセス回線を組み合わせたシステムです。
 原町市では、平成13年に、国の補助制度である地域イントラネット整備事業を活用して、市内24箇所の小中学校や公民館などを結ぶ、総延長30kmの光ファイバー網を整備しました。この光ファイバー網は、各種の市民サービス提供や行政内部の通信に使われていますが、使用されていない余剰部分があります。(原町市の光ファイバーは8心で構成されていますが、行政で活用する部分は将来的な拡大分を勘案しても4心で十分対応できる。残り4心を開放する)
 原町市では、この部分を活用して高速のネット環境を整備し、産業、文化、福祉などの振興に活用することを目的に、プロポーザル方式で整備方法を募りました。結果的に、NTT東日本の提案で各家庭や事業所を無線で結ぶ方式が採用され、市内全世帯の9割以上をカバーするブローバンド網が完成しようとしています。
 無線の設備や各家庭に配備される子機は、原町市が地域活性化事業債を発行して、資金を調達し整備しました。(平成15年度1億2000万円、平成16年度1億2000万円)。この設備と光ファイバー網をNTTに貸与します。また、運営や維持管理はNTTが行い、原町市は委託料をNTTに支払います。
 各家庭まで光ファイバー網を伸ばす方法(FTTH)に比べて10分の1程度の費用で整備が完了しました。設置費用を抑えられたこともあり、利用料金は月額5250円(プロバイダー料金も含めて)に収まりました。
 ADSLやFTTHなど民間のブロードバンド接続はこれまで市の中心部に限られていたしたが、市民アクセス網のおかけで市周辺部も含め、今年秋までに全世帯の95%でブロードバンドが利用できるようになります。これまでに約500世帯が加入しており、まず収支が均衡する2000世帯を目指して加入世帯の拡大を図ります。
(写真上:原町市の市民アクセス網を視察する井手よしひろ県議、写真中:市内24箇所に設置された基地局、写真下:各家庭に設置される子機)