アテネオリンピックも最終日。日本選手団団長で日本オリンピック委員会の竹田恒和会長らが、大会総括の記者会見を行いました。
Yahoo!スポーツナビ(2004年08月29日)
日本選手団団長ら大会総括「ゴールドプランを達成」
■竹田恒和 日本選手団団長
 今大会、日本は金が15、銀が10、銅が11ということで、合計36個(※)のメダルを獲得することができました。メダル総数は、前回のシドニーと比べて倍増、またロサンゼルス大会の32個を塗り替えることができました。このような好成績は、個々の選手、競技団体の努力があったからこそだと思います。団長として、選手たちには心から祝福したいと思います。日本選手団の活躍を現地で応援してくださった方、そして国内で応援してくれた日本の国民の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
 好成績には、文部科学省のニッポン復活プロジェクトにおける財政支援も大きな要因になったと考えています。競技団体は頂点を目指して、海外遠征、国内合宿を多く重ねて、アテネに乗り込んできたと思います。各競技団体関係者の努力、そして国の支援に対しまして、あらためて敬意を表したいです。
 今回、多くの薬物違反者が出ましたが、違反した選手が増えたということではなく、国際オリンピック委員会(IOC)の努力によって違反者の摘出につながったと考えています。日本オリンピック委員会(JOC)が再調査を要請した男子ハンマー投げのアドリアン・アヌシュ選手(ハンガリー)のドーピング疑惑につきましては、まだ結果は出ていませんので、冷静に見守りたいと思います。
 2001年に立ち上げましたJOCのゴールドプラン、10年間でメダルを倍増させる計画は、北京を待たずにして3年間で達成することができました。しかしながら、世界のスポーツは進歩、進化しています。われわれはこれに満足せず、一過性なことに終わらないように、これからゴールドプランを見直して、さらに10年間先を見越した長期計画を立てていきたいと思います。
●JOCゴールドプラン
 「ニッポン復活プロジェクト」とも言われます。
 まず第一が、メダルをとる可能性があったり、お家芸といった競技に、重点的に予算を投下するというものです。体操、柔道、水泳などはそういった理由で充実した強化ができたようです。ちなみに、柔道、レスリング女子、競泳、シンクロ、マラソン、ハンマー投げ男子が「超重点種目」です。
 第二に、選手のみならず、選手の強化活動に必要な助言、指導を与えるためのコーチングスタッフ、マネジメントスタッフ、情報・戦略スタッフ、医・科学スタッフの強化スタッフを充実させる。
 第三には科学的なトレーニンを行う拠点施設の整備です。JOCでは、総合的トレーニング施設であるNTC構想を持っています。国立科学スポーツセンターの整備も、アテネのメダル奪取に功を奏したといえます。
<参考リンク>JOCの選手強化策(ゴールドプラン)について
●オリンピックメダルラッシュと政治
 スポーツ関係者だけではなく、政治も競技スポーツの強化には重要な働きをしました。国立科学スポーツセンター整備の議論で、興味深いやり取りがありましたのでご紹介させていただきたいと思います。
衆議院予算委員会第三分科会(平成09年03月03日)
太田昭宏衆院議員(公明)
 ある意味では、世界的に通用するようなオリンピック選手を養成する。オリンピックのときだけ、日本は弱くなった、メダルが少ないじゃないかなんというようなことを言うと、選手の方あるいはコーチの方、監督の方は本当に歯ぎしりして、施設がない、ナショナルトレーニングセンターもない、データもそろってない、ビデオで徹底的に相手も研究できない、何とか力を注いでいただきたいのにな、こういうことが一方ではある。
ですから、相当これは力を入れたものになる、これは私は突破口にこの施設(国立科学スポーツセンター)はなると思います。そういう意味では、ぜひとも先ほど申し上げたようなことに尽力をいただいて、特にソフト面での、使いやすい、そしてレベルも高いというものに仕上げていただくということは非常に大事なんだ。
小杉文部大臣
 このスポーツ科学センター、これはもう長年のスポーツ界の悲願でありました。
 御指摘のとおり、ソウル、バルセロナ、アトランタと日本の競技成績は必ずしも国民の期待にこたえ得なかったということから、とにかく科学トレーニングあるいは医学的なトレーニング、そういったことが要請されてきたわけでありまして、このたび平成9年度予算で41億円の建設予算が組まれたということは、先日、古橋JOC会長とお会いしたときももう本当に喜んでおられまして、何とか次のシドニーに向けてこれを大いに活用する、本当はしてほしいのですけれども建設期間が4年もかかるものですから間に合わないわけですが、その間も代々木の国立競技場等を中心としてできる限り選手強化に努めてもらいたい、こういうことを申し上げているわけです。