茨城新聞2004/8/26一面
大合併後の県議選挙区 自民「次回は現行通り」特例条例案提出へ
■新区割り、現時点困難
 「平成の大合併」に伴う県議選の選挙区再編問題で、県議会最大会派の自民党は8月25日、次期選挙は現行の選挙区で実施する合併特例条例案を提出する方針を決めた。今後他の会派とも調整し、9月2日開会の第3回定例会に議員提案する。県全体としては合併市町村の枠組みが依然流動的である上、選挙区定数の是正についても来年10月実施の国勢調査の結果を待たなければならないため、現時点で新たな区割りを確定するのは困難と判断した。
水戸市民であっても水戸選挙区の候補に投票できない珍事
 平成の大合併によって平成18年3月までに、県内市町村も現在の83市町村から50台に統合されることになります。それにともなって、県議会議員の選挙区も変更されることになります。例えば、現状では水戸市の県議の定数は5ですが、東茨城郡北部に属する内原町が合併することになると、定数がそのままでよいのか問題となります。また、東茨城郡北部選挙区(定数1)は、内原町と七会村、常北町で構成されていますが、内原町は水戸と合併し、七会村と常北町は、久慈郡選挙区の桂村と共に城里町となります。城里町一町では、県議の議席を配分することは出来ませんので、いずれかの選挙区に合区されることになります。このように、合併後の市町村と、現在の選挙区割りは大幅に異なることが予想され、抜本的な選挙区割りの見直しが必要となります。
 ところが、県議会自民党は特例条例を提出し、次々回(2010年)の選挙まで、現状の区割りで行おうとするものです。
 この特例条例が通れば、内原町の住民は水戸市と合併しても、水戸選挙区の候補には投票できないということになります。
 確かに、合併の枠組みがまだはっきりしないのも事実ですが、合併特例の期限切れとなる平成18年3月までには、広域合併の全体像が明確になります。国勢調査は平成17年10月に行われますので、速報値は平成17年中にも公表されます。次回の県議選は、平成18年12月ですから、十分に間に合うはずです。
 合併後の市町村の円滑な運営を図るためにも、県議の選挙区割りも、新たな市町村の境界をもとに決められるのが当然だと思います。
 しかし、あえて自民党は6年後の見直し条例を提出する準備を進めています。
 選挙民の意向や広域合併の効果を高めることよりも、既得権益ともいえる「選挙の地盤」を優先にした結論とも言えます。

 選挙区割りという重要議案に具体的な議論が行われない
 県議会の慣例で、議員提案の条例は委員会での審議が行われません。いきなり、本会議に提案され、短い討論で採決に持ち込まれます。一番大切な有権者の意見をも反映することなく、このままでは県議会議員選挙の区割りという大切な決定が、安直に行われようとしています。