市町村合併の流れに逆行し、平成22年まで現選挙区割りを踏襲
 9月16日の県議会本会議には、自民党並びに自民県政クラブより「市町村の合併に伴う茨城県議会議員の選挙区の特例に関する条例」が提案されました。
 この条例は、合併特例法を根拠として、「合併の姿がまだ明確でない」のとの理由で、平成22年の県議選まで従来の選挙区割りで県議選を行うというものです。
 しかし、この条例は、市町村合併の流れに逆行するものであり、新たに合併した市町村の区割りと県議選の区割りが異なるという有権者にとっては、不都合な結果を生むものです。他県においては、平成19年の統一地方選は、合併後の新選挙区で行われるのが当然と受け止められています。
 あえて茨城県で今後の6年以上にわたって、旧来の選挙区での県議選を行うという背景には、県議会議員の自分の選挙地盤を温存したいという意識があるとの批判があります。また、このような重要な議案を、全く質疑のないまま議会最終日に採決してしまってよいのかという意見もあります。
 こうした意見をもとに、井手よしひろ県議らは平成18年の県議選から、合併後の選挙区で行うことを定めた条例の提出も含めて検討しています。(なお県議会に議案を提出するためには、6名以上の賛成が必要です)
読売新聞茨城:地域情報とニュース
県議選区割り 次回2006年は現行通り
自民が条例案提出 民主・公明は反対提案検討
 県議会最大会派の自民党は十七日、市町村合併が進んでも、二〇〇六年の次回県議選は現行の区割りで実施する特例条例案を議員提案で本会議に提出した。委員会審議はなく、二十七日の定例会最終日の本会議で賛成多数で成立する見通し。これに対し、民主、公明両党の会派からは「自民党に有利な線引きを維持しようとする党利党略」との声も上がっており、反対提案の提出を検討している。
 県内では現在、二十一地域五十八市町村で合併の準備、協議が進んでいる。年内には、大宮町など五町村が「常陸大宮市」として十月十六日に合併するほか、十王町の日立市編入(十一月一日)、金砂郷町など三町村の常陸太田市編入(十二月一日)が予定される。
 公職選挙法では、合併によって選挙区をまたがる新しい自治体が誕生する場合、新自治体の市・郡単位で選挙区とすることを原則にしており、合併に先立って議員定数などを定めた県条例を改正して対応する必要がある。しかし、合併特例法では、県議会で特例条例を制定すれば、現職の任期満了に伴う次回選挙まで、合併に左右されず現行の区割りを維持することも認めているため、年内の合併に先立ち、県議会として方針を決める必要に迫られていた。
 自民党(四十五人)は、「合併が流動的な段階であり、見定める必要がある」(長谷川大紋幹事長)などとして、この合併特例法を適用し、次回選挙(二〇〇六年)は現行区割りで行うとする特例条例を提案した。ただ、二〇〇五年十月に行われる国勢調査の結果などにより、見直す場合もありうるとの付則もつけた。自民党案には第二会派の自民県政クラブ(七人)も賛同している。
 これに対し、民主清新クラブ(五人)と公明党(三人)は、「国勢調査の結果は二〇〇五年中に出る。二〇〇六年十二月の県議選までに区割り見直しは可能なはずで、初めから現行通りと決めておく必要はない」と主張する。合併後の境界変更に従い、区割り再編を原則とすべきというわけだ。
 条例の議員提案は六人以上の議員の賛同が必要なため、民主、公明両会派とも単独では不可能。このため、中央では与野党で対立関係にある民主と公明両会派が連携し、提出期限の二十二日までに反対提案を出すことを検討している。もし提出できない場合は、自民党案の採決に先立って反対討論を行う方針だ。
 公明党県議の一人は「合併に基づいて区割りを再編した方が、一票の格差も是正されるはず。県民の理解も得ないまま、数の力で簡単に押し切っていいのか」と話している。
 他県では、岡山県で茨城同様、次回二〇〇七年選挙を現行区割りで行う議員提案が提出されており、二十九日に成立する可能性が高いという。