5月24日、横浜市の国土交通省関東運輸局で、「日立電鉄(株)から提出された日立電鉄線(常北太田〜鮎川間)の鉄道事業廃止届出に関し、廃止を行った場合における公衆の利便の確保に関する意見の聴取」が行われました。
 鉄道事業法第28条の2の2項では、「国土交通大臣は、鉄道事業者が前項の届出に係る廃止を行つた場合における公衆の利便の確保に関し、国土交通省令で定めるところにより、関係地方公共団体及び利害関係人の意見を聴取するものとする」とされています。
 今回、関係地方公共団体及び利害関係人として地元の日立市、常陸太田市、茨城県、日立電鉄バスの四者が意見を述べました。地元の自治体関係者が一堂に会して公式の場で、意見を公表するのは最初の機会となるため、利用者、沿線住民などから大きな関心が寄せられました。
(株)日立電鉄バス(取締役業務部長:柴田文弘さん)====
 日立電鉄バスの陳述者は、日立電鉄線が廃止になった後のバスの代替運行に関して、意見を陳述しました。
 それによると、大みか駅から日立方面のバス路線に関しては、バスダイヤの見直しを中心に対応を図る。大みか駅〜常北太田駅間に関しては、バス乗降客の把握や高等学校からの調査をふまえ、新ルートの検討など検討する。特に、通学用の登下校用バスを開設し、高校生が多く地域や高校を直接結ぶ路線を検討する。
 また、大みか〜常北太田間の直行便の検討を行う。
 日常生活支援を目的とする病院や介護施設などの結ぶ路線を検討する。
 さらに、フリー乗車区間の設定などを行政や監督官庁との協議をふまえ検討する。などと述べました。
(株)日立電鉄バスの意見(MP3形式1.5M程度あります)

日立市(政策審議室政策企画担当課長:豊田泰二さん)====
 日立市の陳述者は、日立電鉄への支援は現状では無理として、バスによる代替輸送を検討すべきとの意見を述べました。
 具体的には、日立電鉄線の北部は利用者の拡大が見込めない。また、行政の財政支援は、費用対効果の面から困難である。
 代替バスの検討は、日立電鉄バスが責任を持って検討するとしており、公衆の利便性は十分に確保できると考えている。
 なお、同線廃止時期の繰り上げは考えていない。などと述べました。
日立市の意見(MP3形式1.5M程度あります)

常陸太田市(総務部長:萩谷暎夫さん)======
 日立電鉄の利用者は減少しといっても、年間177万人多くの住民が利用している。
 高校生の通学の足、通勤者の足として、交通弱者の足として利用されている。
 電鉄線の常北太田駅周辺を当市の玄関口のまちづくりを進めていた。まちづくりにとっても必要不可欠な存在である。
 今日の意見陳述が存続の是非を問うものではないことは理解しているが、存続させるために財政支援もやむなしと考えている。
 などと、存続に向けて積極的な姿勢を明確にしました。
常陸太田市の意見(MP3形式1.5M程度あります)

茨城県(企画部長:麦島健志さん)====
 電鉄線の廃止は、誠に残念なことである。
 利用者の減少傾向が続き、会社の営業が厳しいことは理解する。しかし、一日4000人を超える利用者があり、影響が大きいことも事実である。
 高校生徒会やコミュニティーなどから多くの存続署名簿が寄せられている。切実な思いが表れている。
 鉄道は定時制、高速性、環境負荷が小さい。代替バスによる渋滞の深刻さの懸念や沿線環境への懸念がある。
 これまで事業者、日立市、常陸太田市、そして県の四者で協議を進めてきている。情報の提供、経費額の見込みなどの検討を行ってきた。
 存続の問題は、二つの市の意向が最も重要である。
 表明から廃止届けまでの時間が短く、検討の時間が足らない。廃線時期の繰り上げは反対である。
 などと、存続問題は、まず日立市と常陸太田市の意向が、まとまることが最前提であるという姿勢を表明しました。
茨城県の意見(MP3形式1.5M程度あります)