10月6日付読売新聞地方版に、日立電鉄・松場卓爾社長のインタビュー記事が掲載されました。
 一連の日立電鉄線存続問題では、当事者である日立電鉄からの情報が少なかっただけに、貴重な記事となっています。インタビューの中で、松場社長は、電鉄線廃止の考えが変わらないことを再確認しました。代替バス路線についても、採算性に問題があれば路線や便数の維持が難しいことを表明しました。
 日立電鉄線の存続に関しては、利用者や沿線住民に一層の情報の公開が必要であり、松場社長のこうした公的な場での発言が、今後とも望まれるところです。
読売新聞茨城版(2004/10/6)
松場日立電鉄社長との一問一答
売上伸びず民間では限界・松場卓爾社長
――電鉄線廃止の考えに変わりはないか。
 電鉄線の経営状態以前に、当社グループ全体として鉄道事業が持ちこたえられなくなっている。有利子債務が120億円で債務超過になっている。安全運行のため毎年1億2000万円投じてきたが、鉄道事業の売り上げは3億円しかなく、今後の伸びも期待できない。今年四月以降も、前年比で毎月8%前後減っている。鉄道を維持するなら公的支援がないとできないと非公式に申し上げてきたが、今のところ、どの自治体も第三セクター会社設立は考えないと言っている。利用客が減るのが確実な鉄道を誰がやるのか。当社に期待されても、とてもできない。
――日立電鉄線を存続させる市民フォーラムや、岡山電軌の動きをどう見ているか。
 ノスタルジーとして鉄道を残したいという気持ちはよくわかる。安全と収支を考えなければ、鉄道は非常によい乗り物だ。しかし、実際に乗っている人がどれくらいいるのか。「昔乗っていた」「懐かしい」という感情論も相当あると思う。岡山電軌については、新聞情報でしか知らないのでコメントできないが、あちこちの地方鉄道に声をかけているようだ。民間企業としては非常に不思議な行動をされる会社だと思う。
――鉄道廃止後、施設の撤去はどうするのか。
 監督官庁や市と今後相談するが、踏切や鉄橋、トンネルなどの安全対策はできるだけ早くしないといけない。線路撤去は全線一律にやるとは限らない。全国の廃線個所でも、そのままにしているところがある。ただ、大甕―鮎川駅間は、借地が相当ある。施設を取り巻く環境によって様々なやりようがあるだろう。
――後継事業者が決まった場合、線路や施設を無償譲渡する考えはあるか。
 仮定の話をしてもしようがない。
――廃止後の代替バス運行だが、長期にわたって維持できるのか。
 大変ですね。バス部門もここ数年、路線やダイヤを減らしたり、リストラをやったりしているが相当きつい。日立市のような細長い地形のところでバス路線を維持するのは大変だと市も認識していると思う。
――日立市は代替バス運行に補助金を出さないと言っている。
 走らせる前から(支援要請を)言うつもりはない。当社としても利用客を増やす最大限の努力はする。ただ、やってみてバスに乗ってもらえないとなれば、当然相談させてもらう。
――バス路線は、数年間は維持するのか。
 民間企業としてそんな保証はできない。乗客がいなければ、ダイヤを減らす可能性は十分ある。バスに限らず、どんな交通手段であってもあり得ることだ。
――鉄道がなくなり、代替バスもだめになったらどうするのか。
 北茨城や常陸太田のように、自治体がバスを走らせているケースは全国でたくさんある。公共のため、高齢者など交通弱者の足を確保するのは政策の世界だ。それを民間の負担丸抱えでやってくれと言われても、民間会社は持たない。
――電鉄として、これまで乗客を増やす努力は十分やったと考えるか。
 幼稚園や小学校の授業に取り入れてもらい、電車の中に小学生の絵を展示したり、車内に自転車を持ち込めるようにしたり、相当やってきたが、乗客は毎年減ってきた。沿線に観光地がない上、人口の少ない田畑の真ん中を走っている。昭和四十年代後半までは電車が通勤の足だったが、マイカー普及で社会環境が変わった。私自身、日立市に通算二十年近く住んでいるが、昨年六月の社長就任前、電鉄線に乗った記憶は一回だけしかない。
――地方鉄道はどこも赤字で苦しい。どうすれば活路を見いだせると思うか。
 事業者ができるだけ早い段階で経営数値をオープンにして、苦しい実態を自治体や利用者に明らかにすること。さらに、町づくりの中に鉄道をどう組み込めるかも大きなポイントになる。もし、電鉄線が市街地を走っていれば状況は変わっていたかもしれないが、それでも車社会で地方鉄道を民間だけで維持するのは並大抵ではできない。
日立電鉄の存続問題を語るときに松場社長の発言は非常に重要です。その意味で、読売新聞の記事を引用掲載させていただきました。著作権等で問題がある場合、ご一報いただければ、即刻記事を修正・削除いたします。