国会は10月15日の参院本会議で、小泉純一郎首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行い、公明党からは浜四津敏子代表代行が首相の見解をただしました。
 その中で、浜四津代表代行は、「包括根保証」の撤廃を訴えました。
参議院代表質問:浜四津敏子公明党代表代行(2004/10/15)
 中小企業の皆様が特に関心を寄せておられるのは「包括根保証」の撤廃で、公明党も強く主張して参りました。長引く不況で経営不振や倒産に至る事業者が後を断ちませんが、特に包括根保証を抱える事業者は全財産を身ぐるみはがされる上、さらに過酷な責任を追求されて自殺に追い込まれる例が少なくありません。過去最悪を記録した昨年の自殺者のうち、自営業者は実に4千215人と10人に1人以上が自営業者でした。このように、一度倒産したら二度と立ち上がれないような、今のシステムを見直し、再挑戦できるシステムへと改めるべきだと考えます。その意味で、「人生を丸ごと担保に提供しているのと同じ」とまで言われる包括根保証の撤廃は急務です。今後の見通しなどについて法務大臣に伺います。
南野知恵子法相の答弁
 保証制度の見直しを行うなどの民法の一部を改正する法律案を今国会に提案した。包括的根保証の契約の内容に合理的な規制を加える。

 包括根保証方式は、融資ごとに保証契約を結び直す必要がないため、金融機関側にとっては便利ですが、経営者個人の返済責任が際限なく膨らむ恐れがあります。企業の再起が困難になるだけでなく、過大な債務のため自宅などの私財の売却を余儀なくされ、生活基盤すら奪われる事態も相次いでいます。中小企業関係団体からは、「あたかも人生を担保として提供しているかのようである」との声も出されています。
 こうした地域の声を受け、公明党は、個人保証の見直しを早くから提唱しています。マニフェスト(政策綱領)の中でも、個人保証を求めない融資の推進とともに、包括根保証制度について「限度額や保証期間を定めるなどの見直しを行う」ことを掲げ、改革に取り組んできました。
 こうした公明党の働きかけが功を奏し、法務相の諮問機関・法制審議会の保証制度部会が、2004年8月3日に打ち出した包括根保証を廃止する見直し要綱案は、個人保証や不動産担保に過度に依存する中小企業融資の在り方を改革する試みの一環として注目されます。
 要綱案のポイントは、保証契約は書面を交わし、限度額を定めなければ無効としました。保証期限は債権者と保証人の合意があれば5年以内、合意がなければ3年以内に限定しています。債務者や保証人が破産したり死亡するなどした場合は、返済責任をその時点までの融資だけに限定する保護措置を取ることになっています。法務省は今臨時国会に民法改正案を提出します。
 優れた発想力や高い技術力を持つ中小企業が思い切って新事業を展開したり、再挑戦がしやすいような活力ある社会を構築することが必要です。その観点から、包括根保証制度の改革は最重要の課題です。