ローカル線の存続問題は地元の熱意が第一
 橋本昌茨城県知事は、日立電鉄の廃線問題について、11月4日に行われた定例記者会見で発言しました。橋本知事は、ローカル線の存続問題は地元の熱意が第一であり、今回の存続運動では、実際に利用している人の動きがあまり強く出ていなかったと感想を述べました。
 確かに今回の存続運動で、実際の利用者の立場で発言をしたのは高校生徒会でした。この切実な声が、世論を動かすまでには至らなかったことは、存続運動の反省すべきポイントです。
 今後のバス代替え問題を考える視点で、こうした高校生への負担の軽減や利便性の確保を第一義にしていくべきだと思います。
知事定例記者会見における発言要旨(2004/11/4)
 ローカル鉄道の場合に、県が中心にいろいろな対策を考えていくのか、地元の市町村が中心になって考えていくのかということになると、県ももちろんお手伝いしなくてはいけませんが、私は後者だろうと思っております。
 ただ、そのときに、今回の日立電鉄線の場合には、残念ながら地元でたくさん乗ろうという形で需要が回復するという傾向も全然見られないままにずるずると利用客が減ってきている。
 そして、客離れが続く中で、(存続に向けた)いろいろな活動、最後に会社をつくろうというところまでいったようですが、ずっと存続活動をされておられる方々が、例えば高校生で(日立電鉄線を)使っている子どもたちが全員集まっているのかというと、代表して要望に来られる方は全然利用していなくて、利用者の代表という形ではなくなっているのです。利用者の方々の動きが強く出てきているのかというと、そういう状況でもなかった。
 ただ、環境にいいとか、なくなったら不便だとかという形で、一般的な意見を利用者ではない方が言っている面もかなりあったということなども含めて、(存続に向けた)地域としての本当の盛り上がりになるのかということも大事なのだろうと思っております。
 例えば、日立市側、私もいろいろ知人もおりますから、大みかとかあの周辺の意見を聞いて、どういう意見が強いかというと、必ずしも絶対に残せというのではなかった。残せというのだったら利用者たちがもっと動けばいいではないかという意見がやっぱり地元でも聞こえていました。ですから、若干(鹿島鉄道のある)石岡のほうの動きとは違っていたのではないか。石岡の場合には、地元の市町村も、あるいは利用者も含めて、何とか残さないといかんという熱気がもっとあったような気がするのです。
 そういうことも、それぞれの地域のローカル鉄道の場合に、これから地域、地域でどういうふうになっていくのかという大きな分かれ目になってくるのではなかろうかなと思いますし、あるいは、例えば、今、鹿島臨海鉄道は一生懸命努力して、何とか経営がよくなりつつあるのです。だから、ああいう努力などもして、精一杯のことをみんながやっていかないと、これからローカル鉄道を維持していくのは大変なのかなと思っております。
 いずれにしても、何とか残したいという住民の思いをまとめながら、地元の市町村も協力してどうしても残したいという強い決意のもとにいろいろな活動を展開される、実現に向けて努力するということが大切なのではないかなと思っています。