疑問がのこる「商業影響調査」
 水戸市笠原町に計画中の大型ショッピングセンター「水戸メガモール」について、水戸市がまとめた意見書案の概要が判明しました。朝日新聞の茨城版(2004/11/10付け)によると、市内への集客力が増すことで都市間競争を勝ち抜けるなどと利点を積極的に評価し、「立地はやむを得ない」と容認する結論となっています。加藤浩一市長は今月下旬、学識経験者らによる市土地利用審議会に諮問し、答申を受けて12月中にも県に提出するはこびとなります。 
 メガモール建設の是非を巡る議論の根本となった「商業影響調査」には、大きな疑問があります。この調査を行った調査会社は、商業関係の影響調査を行った実績が、HPなどを見る限りありません。こうした実績のない企業が、商業影響調査を行う能力があるとは認めがたいと思います。
 また、メガモールの「業態」に関する考察が掛けています。商業施設が、地元に与える影響を論じるとき、その施設の業態がどのようなものかが、大変重要となります。たとえば、スーパーマーケットであれば、数キロという狭い地域に大きな影響を与えます。反面、ブランド品のアウトレットショップなどは、100km近い広い範囲に影響を与えるとされています。現在の計画では、キーテナントや業態についての説明が、デベロッパーから提示されていません。こんな状況では、とても商業影響調査自体が行えないと思うのですが、いかがでしょうか。
 さらに、調査を行った会社には、元水戸市の建設部長が顧問となっています。この元部長は、開発を進める企業の代表者に依頼されて、建設推進の請願書を起案した人物です。このように、不明朗な関係性のある企業が、公正な商業影響調査を行えるのでしょうか?
 今回の水戸市の決定には承伏しかねます。商業影響調査を、再度、実績のある専門業者に行わせることを主張します。
(写真は水戸メガモールの建設予定地の航空写真)
朝日新聞茨城版(2004/11/11)
メガモール 水戸市が立地を容認 利点評価
□計画の背景なお不透明□
 水戸メガモールが実現へ向けて動き出した。しかし、市長と事業主の関係など、計画の背景には今なお不透明さが残る。(安部美香子)
■市議会変節
 市議会はこの1年で、計画に対して反対から容認へと大きく舵(かじ)を切った。
 昨年8月、商店主らが反対の請願を出した時点では、33人中25人の市議が署名した。ところが、わずか10日後に出された計画促進を求める請願が流れを変えた。
 署名した市議は2人だけだったが、これをきっかけに都市構造調査特別委員会を設置。有力市議らが賛成に回った結果、特別委は請願の採決を避けた。
 背景には、反対の市民を刺激したくはないが、賛成派の期待も裏切りたくないという意識が働いたとみられる。賛成に回った保守系市議は言う。「反対請願には、うっかり署名した人も多かった。議会が分裂し、しこりを残しては困る」
■請願に動く
 計画促進の請願には、事業主の太平洋物産(水戸市)が深くかかわっていた。
 反対請願をきっかけに市議会で反対ムードが盛り上がった時、地権者らが高橋正勝社長(61)に「メガモールはできないんじゃないか」と詰め寄ったという。高橋社長は、元市建設部長で建設コンサルタントの菅原信男氏(66)に相談し、計画促進の請願を起案。地権者の一人に請願の代表者になるように頼んだ。
 高橋社長は「請願を書けるような文章の得意な人がいると、知人から紹介された。市の元部長だとは知らなかった」と話す。
 計画では、店舗運営を双日(旧日商岩井)が、用地の買収・借り入れと店舗建設を太平洋物産が行う。民間の信用調査会社によると、同社はバブル後に業績が悪化。常陽銀行などに数十億円の借り入れがあり、多額の債務超過の状態だという。
 組織の問題もある。同社では81年8月〜82年6月、市議だった加藤浩一市長が取締役を務めた。加藤市長は「高橋社長は中学の後輩。私は市議以外に肩書がなく、誘われて役員になったが、今はまったく関係ない」と説明した。
■公平性に影
既存商店街への影響を評価するため、市が発注した商業影響調査にも不透明さがある。
 調査は今年2月、指名競争入札で東京の建設コンサルタント会社が落札し、8月、調査結果として「条件付き受け入れ」を提言した。だが、同社では、計画推進の請願にも関与した菅原氏が顧問を務めていた。調査にもかかわっていたため、特別委で「立地を誘導する恣意(しい)性を感じる」と批判された。
 菅原氏は取材に対し、「市の将来を考え、共存のための提言をした。調査は会社が落札したもので、請願の相談に乗ったこととは関係ない」と述べた。
 加藤市長は「どこの会社にも県や市のOBはいる。公平性に欠けるとは思わない」と語った。